2019年 菊花賞

豪G1のコーフィールドC(芝左2400m)で、メールドグラースが優勝したらしい。

騎乗したのはDレーン。この春、短期免許で日本に来て、またたくまに乗る馬乗る馬、どんな馬でも過剰人気にした若き名手である。

コーフィールドCでのメールドグラースの斤量は55,5kg。トップハンデ馬は58kgだった。メールドグラースは遠征直前の小倉記念で57,5kgのトップハンデで勝利してるので、それより2kgも軽い斤量は恵まれたとも言える。

日本馬は、オーストラリア・香港・ドバイでなら勝てるのに凱旋門賞だけなかなか勝てない。勝てないどころか成績は年々悪くなっている。日本とフランスのロンシャン、馬場の違いは大きい。が、最大のネックは斤量じゃないかと、今日のコーフィールドCの結果で思った。4歳以上で凱旋門賞に参戦するなら、半年程度の現地滞在はもちろん、日本にいるあいだにハンデ重賞に最低58kgのトップハンデで出走して勝利する力がなければ「行ってもムダ」になりそうだ。馬場状態がどんなでも、増えた斤量を気にせず走れるのはステイゴールドの直仔かエルコンドルパサ本体くらいのものだろう。

 

さて菊花賞

去年の菊を思い出すとまだ腹が立つ。コケにされたような、後味の悪いレースだった。

今年はたぶんあんなレースにはならないだろう。なぜなら、スミヨンがいる。スミヨンは性格的にたくさんの欠点を持つが、誰はばかることなく唯我独尊なだけに、“自分以外の誰かの利になるような忖度”を許さず、自分への忖度であっても“忖度を仕向けた側が頭を抱える”ようなレースと振る舞いをする。これがいい方向に働けば、良い意味でレースを壊してくれる(はずだ)。

そのスミヨンが騎乗するのはヒシゲッコウ。午前10時現在4番人気。直前追い切りは出走馬中1番か2番くらいにとても良かったが、これは調子の良さで人気になっているのではなくスミヨン人気だろう。ルーラーシップ産駒の火事場のクソヂカラは重々承知しているし、ヶ月で10回も調教馬場に駆り出して乗り込まれいるところから陣営の気合いがうかがわれるが、逆に筋肉が硬くなってるおそれもある。私的には「注か?」くらいの怪しげなヒモ印を回すのが精いっぱいだ。

スミヨンという当て馬で、興奮を余儀なくされているのがルメール。馬だけじゃなく騎手も駒なのね。“持ち馬”って概念は遠い昔のアナログ世界に弾き飛ばされてしまった。今回、ルメールはヒシゲッコウやサトノルークスでなくニシノデイジーに乗る。出馬表を確認したとき、びっくりした。衝撃だった。「ルメールはノーザンの寵愛から外れたのか??」と。ニシノデイジーの実力は不明だ。前に行きたがる癖を修正しようとしているあいだに、負け癖がついてしまったように見える。調教は1週前・直前ともに悪くない。馬力があるのはわかっている。皐月賞以外では大きく負けていないので立ち回り次第の馬だが、ルメールはどう乗るだろうか。

昨年の制裁王デムーロは、前走で2勝クラスを勝ったばかりのカウディーリョに騎乗。デムーロは今年、ファウルの回数減少と共に勝ち鞍を減らし、精彩を欠いている。ヒシゲッコウとカウディーリョの2頭出しで臨む堀師が、デムーロにどんなレースを期待しているのか。前走後のカウディーリョは、北海道のNF空港という外厩にいて、そこから美浦に運ばれた。外厩で対策をほぼ済ませたのか、同厩のヒシゲッコウに比べて美浦での調教は「斤量慣れと末脚強化・確認」に終始している。アテにならないデムーロというマイナス材料が手伝ってか、現在11番人気。全姉にディアデラマドレ、半兄に先ごろ京都大賞典で大穴をあけたドレッドノータスがいる血筋、このまま低人気で推移するようなら、鞍上には目をつぶって複勝買ってみるのも面白い

外厩といえば、今回、いわゆる外厩からJRA厩舎に入厩した馬は18頭中4頭と、春までのG1に比べて非常に少ない。これはおそらく、ノーザン天栄の調教主力が凱旋門賞出走馬のために渡欧していた影響だろう。天栄組がザダルとホウオウサーベル、追分ファーム外厩組がディバインフォース、そしてNF空港組が先述のカウディーリョである。

夏の降級制度がなくなって上がり馬の実力に疑問符がつきまとい、全馬が初となる今年の3000m菊花賞

上記、外厩組の中では、人気であっても私はホウオウサーベルは買わない。成長を促しながらの慎重な使われ方に好感はもつものの、55kg以上の斤量で馬券内がなく、初の右回り実戦。それ以上に鞍上の蛯名が気がかりだ。斤量負けしないメンタルとフィジカル、および右回り走のトレーニングを外厩でみっちり施されたとしても、良くて掲示板だと思うのだ。

私の狙いは4番ユニコーンライオン12番レッドジェニアル

ユニコーンは一発狙いで定評のある矢作(厩舎)だし、レッドジェニアルは血統的に面白く、ちょうど昨日、半兄のノワールギャルソンが新潟障害OP3250mで61kgを背負って逃げ切り勝ちしたばかりだ。

3番カリボールに類稀なセンスを感じて、こちらを中心にしたいと思ったが、今日のところは様子見にとどめる。

もちろんニシノデイジーやワールドプレミア、ヴェロックスも買うし、サトノルークスも買うつもりでいる。サトノルークスは外枠になったためか人気を落として8番人気。確かに内枠だったら良かったと思う。でも、こういう人気のないときの福永は、有力馬の壁になったり気配を消したりするから怖いんだよね。