【感想】 ジャパンカップ

見事に危なげない1等賞。

天栄の全長900m高低差36mの坂路でどれだけ鍛え、

ウッドコースでどれだけ古牡馬と模擬戦したか知らないが、

持てる素質に強い精神力が備わっていなければ

本番で成果を発揮することは叶わない。

これはもうジェンティルドンナを超えている。

ルメールの巧さが3割、アーモンドアイの強さが7割。

それをしみじみと感じるレースだった。

 

キセキ川田も惜しかった。もしアーモンドアイにルメールでない他の騎手が乗ってたら……と、たらればを想像してしまういいレースを作った。

レースでは2ハロン目に相当速い脚を使い、3ハロン目に落とし、8ハロン目からまた脚を使わせるように仕向けたが、アーモンドアイは鈍ることなくぴったりついてきた。1000mの消耗戦に持ち込んで負けたのだから、相手が悪かったとしか言いようがない。

それにしても、日本人騎手には川田と岩田ぐらいしか外国人騎手と真っ向から渡り合える騎手はいないのか。馬質が同じなら、和田や横山典もかなりの腕前と大手生産牧場や大手馬主の顔色を見ない器の持ち主だが、和田は年内復帰が難しそうだし、横山典は加齢で無理が利かなくなっている。20代から40代前半までの、反骨精神と騎乗技術が高いレベルで折り合っている騎手が出てくればいいのだが、G1常連の日本人騎手の多くは日本競馬の殿(との)にお仕えしたい個人事業主ばかりになっていて、どうやら望むべくもないようだ。

やはり、地方騎手をどんどん呼ぶしかないか。外国人騎手にそこそこのハードルで免許交付できるなら地方騎手にも可能なはずだ。

 

地方と言えば、なぜ参戦したのかわからなかった地方馬ハッピーグリン。7着の大健闘。社台ファームの生産馬だから、幼少期の栄養状態と馴致・育成環境は申し分なかった。とはいえ、デビューは地方、現在も地方在籍馬。

アーモンドアイは今日で7戦目なのにハッピーグリンは17戦目。2歳3歳での出走数の多さはそのままハンデだ。噂によれば、ハッピーグリンの馬主さんはシルク会員でアーモンドアイの一口でもあるらしい。それが事実だとしたら、あんまり無茶な欲かかんと来年の同じレースを目標にして、成長に溜めをつくる余裕ある逆算ローテをとってほしいが。馬は父系の影響が大きいなら晩成傾向だろうし、後々に活かすやりかたで大きな儲けに近づくなら損な話ではないはず。

また、JRAは外国馬には優しいが、地方馬には差別的に厳しい。前日入りしかJRAが認めないので、ハッピーグリンは北海道から長距離輸送で翌日の競馬。同じことを中央の馬にもさせてみて初めてフェアな競走と言えるのではないだろうか。

 

余談ながら、当日のWin5、おもしろいことになっていた。

Win5の4レース目、京都11RオータムリーフS終了時点で残っていた当たり票数は451票。それが、断然の1番人気だったアーモンドアイが勝ったジャパンカップが終わってみると255票に減っていた。

減った200と少々の票は、アーモンドアイに入れてなかったわけだ。Win5の1レース目で10番人気ミックベンハーに入れて生き残っていたのに土壇場で高配当を逃した人の悲嘆を想うと、気の毒やら可笑しいやらで複雑な気分になる。もっとも、各レース3頭以上に結構な資金を配分していた人についてはその限りではないが(はい、貧乏人の僻みです)。