2019 高松宮記念 (追記あり)
3番ミスターメロディと6番アレスバローズに注目している。
なぜなら、人気のダノンとルメールロジは外枠で、両サイドを牝馬3頭ずつに挟まれている。ホルモン分泌が盛んになるこの時季、ゲート内に漂う牝馬の芳香?にオス馬として惑わされることがないとは言えない。うっかり8歳♂ヒルノディバローが反応しちゃうと6歳4歳がつられて気がそぞろになることはありえる。
牝馬群から離れた内目の枠にいるミスターメロディとアレスバローズは、ともに昨年、中京コースの芝短距離で勝利していて、小倉芝1200でも勝っているように小器用な脚がある。ミスターメロディは3月のファルコンSでアサクサゲンキを下したのが大きいし(アサクサゲンキはいい馬だが、あの敗戦で気持ちが挫けたのか、それ以来パッとしないのが残念である)、CBC賞のアレスバローズは、スプリントの一線級が出ていなかったとはいえ強い競馬をしていて、上位の持ち時計もある。
マイナス点が少なくて人気になっているミスターメロディはいいとして、アレスバローズはデータ的には弾かれる馬だ。そのために下位人気に甘んじている。しかし鞍上は川田。連下どころか連絡みもあるというのが私の見解である。
2019.3.24 11:15 追記
・ミスターメロディは追い切りを芝で行っている。これは3月ファルコンS(1着)や11月オーロカップ(5着)の追い切りと同じだが、私はポリトラックや芝での追い切りが感覚的に好きではない。ファルコンで結果が出ているのだから杞憂ならいいのだが。
・牝馬ではナックビーナスが怖い。レッツゴードンキ陣営の悲願を想うとドンキの3年連続馬券内を願いたくなるが、ナックビーナスはドンキより1歳若いうえ、2走前に58kgの酷量を背負ってモズスーパーフレアの1馬身差(2着)に詰め寄っている。前走で同斤量になり、そこでもまた負けているため評価を落としているけれど、人馬がモズに引け目(負け意識)を感じることなく自分のレースに徹しさえすれば逆転の目もある。
インティ 2 (武田茂男氏のこと)
東海ステークスから5日過ぎた今日、やっとレース映像を観た。
インティは強かった。脚が心配になるくらい、芝並みの速さで砂を駆けていた。同時に、チュウワウィザードの強さもわかった。同時代にインティやルヴァンスレーヴがいることがチュウワウィザードの不幸だと思った。
ま、それはともかく。
今回、『インティ 2』と題した記事をアップしたのには理由がある。東海ステークスで圧倒的な強さを見せつけたインティに関するニュースやコラムを検索していて、私が昨年11月に書いた記事『インティ』に大きな思い違いがあることが判明したからだ。
tumaranaimonodesuga.hatenablog.com
上記記事中で、私は馬主の武田茂男氏を「どうやら一般の競馬好きでいらっしゃる可能性が高い」と書いたが、それは大きな間違いだった。
武田茂男氏は、一風変わった奇特な馬主さんではなく、長距離好きメジロ好きのレジェンド、今は無きメジロ牧場のかつての場長さん、その人であった。
あの記事を書く前に、一応ネットで調べてみた。でもそのときは見つからなかった。
とはいえ、
何が「フォレストキティとその子を大事に所有することで自らたぐりよせた奇跡的な良縁」だ! 失礼にも程がある!!
今なら「インティ 馬主 武田茂男」で検索すると、かつてメジロ牧場の場長でいらしたこと、メジロ牧場を退職されてからは浦河で「武田ステーブル」という育成牧場を開設運営し、同時に複数頭の競走馬を所有する馬主でもある等の紹介記事が出てくる。
インティの誕生は、たまたまでもなんでもない。配合を考えたのも、育成計画を立てて主導したのも武田茂男氏だろう。
武田茂男さん、不明の非礼、お許しください <(_ _)>
2018年度JRA賞が発表されたが
JRA賞って、受賞したらなんかもらえるんだろか。
賞状や盾やトロフィーの類だけだったら
警察消防からの感謝状や学校のなんとかコンクールの表彰と変わらない気がする。
でも記録として残るから、トレードの書類審査には有効か。
高額トレードをハイレベルお受験と考えれば、
馬売りには「あって損はない」称号なんだろう。
SNSでは最優秀3歳牡馬の得票数が話題になっていた。
得票数1位で選ばれたのは、有馬記念を勝ったブラストワンピースだが、
ブラストワンピースのファンや1口持ちらしき人々の歓喜に混じり、
「クラシックを勝てずにGⅠを有馬ひとつしか勝っていない馬が3歳の代表でいいのか、ダービー(優駿競走)の意義はどこにあるのか」という、日本競馬の成り立ちに迫る問いかけや、
ダート馬のルヴァンスレーヴが69票も得票して、ブラストワンピースの114票にあと45票、得票数二位だったダービー馬ワグネリアンにあと19票に迫ったことに対する賛否があった。
個人的には、ブラストワンピースに票が入りすぎたと思う。ワグネリアンはダービー後が神戸新聞杯の1戦だけなので相対的に「やむなし」という感じ。逆にクラシック皆勤の皐月賞馬エポカドーロにはもうちょっと票が入っててもよかった。ルヴァンスレーヴの得票数69には、実際強いと思ってるので違和感がなかった。ルヴァンスレーヴは安定して強かった。
ところが、やっぱりいるんだ。いや、おられるんだ。「ダートは格下! 芝でやれない馬がダートに行く。ダートは落ちこぼれの受け皿!」と強力に主張される方々が。
中でも、「ルヴァンスレーヴが最優秀3歳牡馬でもよかったのに」という声に対して「JRA賞なんだからダート馬が受賞出来ないのは当然」という反論?があったのには驚いた。反論者は未成年か学生なんだろうか。あまりにきっぱりと言い切ってるもんで、私の認識が間違ってたのかと不安になった。じゃあ、JRA所属のダート馬はJRAのなんなんだよ。JRA賞に『最優秀ダートホース』部門があるように見えるのはただの幻なのか。
日本の競馬が芝偏重なのは知っている。
言われてみれば、JRAの造園管理課かなんかの人が、昔、「ダート競走は芝の保護育成のために必要」と競馬雑誌の記事に書いてたことをうっすらと思い出すこともできる。
んじゃダート馬って、芝馬のために走ってるようなもんなんだろうか。
JRA主催の芝G1は22レースある。対して、ダートG1は2つしかない。フェブラリーステークスとチャンピオンズカップである。
ダートで走る馬は、芝オンリーを走る馬に比べて加齢による衰えが少ないと言われる。そのぶん、ただでさえ少ないチャンスのダートG1に歴戦の古馬が数多く集まり、3歳ダート馬にとってのハードルは、「チャンスが多いぶん陣営の思惑次第でいくらでも回避できる芝G1」より高くなる。その敷居が高い中で勝った3歳ルヴァンスレーヴは、今年の3歳牡馬の中で出色に強いと言っても言い過ぎではないはずだ。
なのになぜ、2018年度当年くらいは変えてもいい「ダート馬は芝馬より格下」論を変えない人が多いのか。
日本の競馬は、芝競馬のみを権威認定競馬にしていたイギリスを手本にして始まった。なので、長らく生産者にも馬主にも「芝コースで一番早く走れて強い馬が一等賞」と考えられてきたことは理解できる。それはバクチとして馬券を買うこちら側も、日本競馬会、日本中央競馬会も同じだ。
しかし、2018年度のノーザン生産&一口クラブの3歳駿馬たちのように、グレードが高くて賞金が高いレース以外には見向きもしないでスペシャルな外厩で鍛え育てる芝馬が増え、強い「はずの」馬同士が対決するような芝GⅠ戦が少なくなってきたのが現状である。そろそろ、「昔からこういうものと決まっているからコレデイイノダ」的なものの見方を脱して、ダート馬にも芝馬と同等の正当な評価を与えてはどうかと思う。
【感想】 2018 ホープフルステークス
内田、何しとん?
福永、何やっとん?
びっくりした。スタート直後、3番キングリスティアが離れた最後方を追走。何が起きた!
直線は直線で、2番ブレイキングドーンがMデムーロの乗るサートゥルナ―リアに「どうぞどうぞ」と進路を譲っているように見えて。
前記事に「内枠の騎手3人とも、なんか自分的にはめっちゃ不安あるし」と書いたが、ほんとにそうなってしまった。なんとかしろよ、頭使えよ、日本人騎手。
ネット上には、外した人の悲嘆と怒り、当てた人の外した人への嘲笑?が散らばっていた。その隙間に、ヒルノダカールの松田とサートゥルナ―リアのMデムーロに過怠金が課されたとの情報があった。
パトロールビデオは馬友に見せてもらった。Mデムーロ、昨日は東京大賞典でも勝って、日本を離れるまでほんま好きなようにやりおったな。
福永は「どうぞどうぞ」したわけではなかった。Mデムーロが体当たりでこじあける瞬間、族ネタ芸人<いつもここから>の「どけどけーぃっ!」が聞こえた気がした。イタリア人だから実際には ” Rompere i Coglioni !(ロンペレ イ コリォーニ)” だろうけど。
デムーロとサートゥルナ―リアのファンには申し訳ないが、私はこれを勝ちとは認めない。12kgも太って、抜け出すときのあの脚だ、サートゥルナ―リアは確かに強い。しかし、「相手騎手さえ落とさなければいい、馬主的に強いところを怒らせなければいい、今年はこれで最後だからやったれい」的な騎手が、自分がとったポジションの旗色の悪さを物理でカバーするやりかたが気にくわない。もちろん、それを通用させ続けてきた胴元と、胴元と慣れあう集団の責任はかなり大きい。Mデムーロが制裁点の多さの割に騎乗停止裁定が少ないのは、裁定委員の目が勝利という結果に目くらましされてるのではないかと勘繰りたくなるほどだ。相手馬の脚が明らかに無い場合だけでなく、追い出しのタイミングを測っていたり、エンジンのかかりが遅い馬(これがMデムーロにはモタモタに見える可能性はある)にも近接斜行等で進路妨害をするのだから、非常にタチが悪い。
2着馬アドマイヤジャスタの騎手ルメールはMデムーロとは対照的だ。ポジション取りや追い出しタイミングのミスがないわけではないが、そのミスを他馬に不利をこうむらせて「無かったこと」にすることがとても少ない。
2018年度の騎手制裁点では、Mデムーロ 71点に対し、ルメール 36点。
制裁率では、Mデムーロ 3.28%に対し、ルメール 1.81%。
(上記数字は二次資料 2018年 より)
JRA競走騎乗数は、Mデムーロ 640鞍、ルメール 772鞍だから、ルメールのクリーンさは際立っている。
日本人にとっての競馬は品格が問われるようなものじゃなく、所詮バクチでしかない。それでもJRA(胴元)が公正を謳いたいなら、ルールをもっと明確化し、対象者の身元引受人が誰だろうと、対象馬の馬主が誰だろうと一律に制裁を厳しくしてはどうか。「勝ったと思ったら降着になりよって大損こく」のもバクチなら当たり前で、バクチやる人間はそれくらい覚悟の上だし、職業的に投機としてやってる人間だって、生き物投機の性質である不確実性に振り回されるのは先刻ご承知なはずだ。裁定が ‘どういうわけか曖昧’ だから、バクチや投機として競馬をやる側の覚悟が中途半端になる。
ニシノデイジーの3着は仕方がない。あのスローペースを団子状態で運ばれては、外に出せるタイミングがなかった。「1枠1番はわかっていたことだし、馬を引っ張り通しにするよりは道中の位置を下げてでも外に回せばよかったのでは?」は、経験より1ハロン距離が延びて、最後に坂が控えている中山では冒険すぎる。勝浦騎手はリーディングで15位以内に入ったことがない。前が開くのを待つしか手段が他になかったに違いない。
もし、ニシノデイジーに巧い騎手が乗っていたら、スタートがよかったニシノデイジーを、デムーロが先頭になる前の2番ブレイキングの進路に(ふさぐことなく)つけ、徐々にデムーロの後ろに回っていただろう。そうして3コーナーの手前で8番アドマイヤジャスタの後ろに出す。……外野の素人が想像でつくった ‘たられば’ だが、不可能ではない。
どこでどうすればよかったか、勝浦騎手にはレースVを腐るほど見直して、進路取りに進展をみせてもらいたい。引き出しを多くしておいて、中山の本番では逃げたっていいのだ。
4着コスモカレンドゥラの戸崎騎手は、Mデムーロの策略にハマってしまった。一旦はMデムwithサートゥルナーリアが先頭に立ったのだから、そのまま先頭で標的にしちまえばよかったのだ。なんでデムーロに促されて先頭に立つんだ。素直か!
「押し出されの逃げ」の形になったデムーロが、ペースをどう運んだかはわからない。わからないが、どのみち勝利はサートゥルナ―リアのものだったとしても、逃げで勝てた気分の良さは2歳馬には麻薬のようなものだ。ことに、この馬サートゥルナ―リアは遺伝的にプライドが高く、興奮しやすい気性である。ちょっと扱いにくい馬にしてあげてもよかったのではないか。
5着ブレイキングドーンは受けた不利が全て。戦後の日本競馬の中で、意図的にこすられて跳ね飛ばされた馬がそのあと盛り返して加害馬より先着した例を、私は寡聞にして知らない。ただMデム氏は自分より格上と感じる相手にはほとんど荒い真似をしないから、福永氏、Mデム氏に舐められているか嫌われているのだろう。
6着ヴァンドギャルドも、Mデムwithサートゥルナーリアに不利を受けた1頭である。
それだけでなく、直前、松田騎乗のヒルノダカールに押されて内に追いこめられる不利を受けている。それによってヴァンドギャルドの内にいたMデム(以下ミルコと表記)が連鎖的にさらに内に押し込められ、万事休したMデムwithサートゥルナーリアは、福永ブレイキングをドーンし、Cデムーロ(以下クリスチャンと表記)が騎乗するヴァンドの進路に強引に入る手を選んだ。
クリスチャンがミルコの弟なのは、競馬をやってる人間なら誰もが知っている。だが、ミルコは弟をも不利の巻き添えにした。公平っちゃ公平。「俺が俺が」の軸はブレてない。
同じヒャッハー体質、調子乗りでも、クリスチャンは普通の調子乗りかもしれない。本年の日本での騎乗数142に対し、制裁数はゼロ。アヴドゥラは騎乗数112に対し、制裁数6である。
記憶では、今年モレイラ(だっけ?)に悪質なタックルを受けた時、クリスチャンは日本人騎手なら落ちていたところを、すぐに体勢を整えて持ち直していた。彼の騎乗技術やフィジカルは低くない。むしろ高いほうだ。ただ多頭数の競馬競走になるとまごまごする場面が増える。「日本の競馬の流れに慣れればどうにかなるかならないか」は何とも言えない。
きょうだいが多いからわかるが、兄(姉)は弟(妹)を支えることもあるけれど、騙したり、必要なことを教えないことがある。カインとアベルの昔から、きょうだいは庇護者の関心を取り合う敵なのだ。クリスチャンに必要なのは、兄依存から少し離れて、ムーアやルメールが勝利したレースVを自分だけで山ほど観て、ポジション取りやコース取りの参考にすることだろう。
「クリスチャンはイタリアに帰れ、代わりにモレイラ戻って来い」との声があるが、私の感情感覚はその逆だ。モレイラとミルコのブロック&アタック合戦を見てみたい気はするが、舞台は日本じゃなくていい。
7着には松田騎乗のヒルノダカールが入線した。今年のホープフルSの一連の加害被害劇はこの松田の騎乗に端を発しているが、こういうこともあるのが競馬。死んだり怪我したりした人馬がいなかったのは良かった。
そも、年間300鞍以上乗って制裁数ゼロは、今年で言えば、障害騎手の嘉藤と年間勝利数13回の高倉稜の2人しかいないほど達成するのが難しい。故意、悪質、常習を許すのはどうかと思うが、馬券購入者は自ら、こうした小さな加害被害を「起こるもの」として受け容れなければならない土俵に好んで立っているのである。
ヒルノダカールは平坦京都の未勝利を勝ったばかりの日高産の2歳馬である。加害馬にはなったが、直線の走りを見て、「案外やるな」と感じた。血統は、ヴィクワールピサ(ネオユニ×マキャベリアン)×メジロマックイーン×カツラギエース×ダンシングキャップ。母系をさかのぼると、小岩井農場の基礎輸入牝馬アストニシメントにたどりつく。古い母系だが、上手に育ててもらえたら古馬になって面白いと思う。
検討していて、能力的に期待を持った一番手のキングリスティアは8着。これの不安は、「前走新馬勝ちのキャリア1戦馬」ということではなく、川田から手替わりの内田という点だった。ゲートで立ち上がった時にスタートが切られて、それは内田の責任とは言い切れないのだけども、向こう正面での馬群に追いつくためのガシガシ追いと直線でのガシガシ追い。中1週で参戦の若駒に二度のガシガシ追いが今後どう影響するか。
キングリスティアの後3Fの脚はサートゥルナ―リアと並ぶ1位、35.3だったわけだが、出遅れ追走のここでその脚を見せる必要はなかったし、疲労度も心配だ。先につなげるためには、流すことが必要な場合だってある。内田は生え抜きじゃないから、そういう選択は最初から頭になかったのかもしれない。
追記
前記事で、NF系外厩として山元トレセンも入れてしまいましたが、間違いでした。山元トレセンは社台系です。慎んでおわび申し上げます。
2018 ホープフルステークス
買わないよ……
競馬なんて、「これならイケる」て思い込めるから買えるんだ。
中山開催なのに天栄帰りのお馬がいない。
他のNF系外厩は
山元が9番ジャストアジゴロ(田辺)、
しがらきが5番サートゥルナ―リア(ルメール)と8番アドマイヤジャスタ(Mデムーロ)。
悪くないよ、悪くないけど、乗っかっていいのかなぁって不安がよぎる。
しがらき組はツートップの騎手乗せてんだから、
そこに乗れる人が勝ち組って結果になるんだろうとは思う。
上記に、マーフィーが乗る7番ミッキーブラックや、デムーロ弟が乗る11番ヴァンドギャルドを加えれば、このところの傾向では当たりに最も近くなるんだろう。
ただ問題は、何を軸にすればいいか。何を軸にすれば安心できるか。
馬だけ見れば、私は
3番キングリスティア、1番ニシノデイジー、11番ヴァンドギャルドの順に魅力を感じる。次に2番ブレイキングドーンと5番サートゥルが同列に入ってくる。じゃあ3番を軸にすればいいじゃないかと言われるかもしれないが、内枠3頭と外枠1頭の並びが、先週の有馬記念と同じ買い目に見えて、それが同じ失敗を招くようで怖い。内枠、ひどく荒れてんじゃないの? 内枠の騎手3人とも、なんか自分的にはめっちゃ不安あるし。
とかなんとか言ってたら8枠2頭の叩きあいになったりしてね。
8枠ったって、13頭立てだから実質6枠じゃん。
さあ、今日はあいさつ回りとお掃除の日だ。
あとで観るだけのレースにする。
迷ったら、間違っても手を出しちゃいかん。
G1は有馬で終わってほしかったよ。
【反省】 2018 有馬記念
「おお、池添勝ったのか、おめでとう!」
これが最初の感想だった。
知らないというのは幸せだ。馬券ハズしたけど祝福した。
実体は天栄のワンツーだった。
訂正する。「天栄、おめでとう!」
仕事がヤバくてヤバくて、尻に火どころか火ダルマだったのに、有馬記念もやりたかった。あれも心配これも気がかりという状態であっちこっちに気が飛んで、結局、天皇誕生日の数字合わせ(1・2・3・12番)ボックス馬券各種と、G1のこの条件には珍しい父産駒3頭(2・9・10番)の複勝を買った。
思い返せば精神状態が普通じゃなかった。追い詰められると昔のクセが出る。やるに事欠いて、競馬を再開する前の『新聞の馬柱とにらめっこ』オンリーに退行し、「このレースは難しい」と思いこんでしまった。
仕事上のいくつかの急ぎ事案は、尻着火の時点で、退社後に家で片づけることが可能だった。
しかし……。
だらだらと終わったレースの感想(前記事)なんか書いてるからだ。そんな時間あるなら寝ろ。寝られないなら仕事しろ。現実逃避して興奮してる場合か。
ブラストワンピースの菊花賞4着を「 あのスローペースだから4着に来れた」ととるか「あのスローペースを追い上げて4着だから強い」ととるか。私は前者だった。だが、前走をどうとるかは、ノーザン産で天栄仕上げの社台系クラブ馬にはまったく無駄なテーマだった。単に先入観を強化するだけ。マイナスにしかならない。
この有馬記念で、ノーザン産かつ天栄仕上げの社台系クラブ馬は2頭だけ。勝ったブラストワンピースと2着のレイデオロである。これをちゃんと、検討時に確認すべきだった。そりゃいくら天栄仕上げのクラブ馬でも(ブラストの菊花賞がそうだったように)100%馬券になるとは限らない。しかし1レースあたりの出走頭数が少なくて馬券内確率が異常に高いG1で、それを買わないのはアホの極み。なんのためにアーモンドアイが回避したと思ってんだ。脳味噌ないのか、おのれは。
ブラストワンピースに課題があったとして、それは天栄の特進科スペシャルコース(そういう名称じゃないかもしれないが)の精鋭が、菊花賞後からの一ヶ月と少しの期間で、段階的にクリアさせたようだ。また、有馬での池添の位置取りコース取りは、ダービーや菊花の時と異なり、巧かった。イメトレを相当したように感じる。急に歯車がピッタリ合った人馬のレースぶりだったから、ひょっとしたら池添は、平日、ワンピースに乗りに天栄まで行っていたかもしれない。
この記事を書くにあたって、ブラストワンピースの大竹厩舎帰厩後の中間調教を(字面だけど)確認したが、前週に行われた朝日杯のアドマイヤマーズ友道厩舎ほど目的意識が明瞭には思えなかった。もしかして大竹先生、「天栄と池添にお任せ」の人なんだろうか? わからんけど。
2着レイデオロは、このレースを制するには位置取りがやや後ろ過ぎたように思う。キセキの参戦により、前後フラットなミドルペース、持久力勝負になるが、自分の馬はそれでも勝てる、前崩れになる、と見込んでの位置取りだろうか。が、小雨が降りそぼる中山、前で運ぶ馬たちで決まることもありえた。2着だからそのバクチに負けたとは言えるが、下りの勢いを利用したゴール前は鬼気迫る激追いだった。
その1着2着より目に焼きついたのが、細かい雨粒に煙る中山を果敢に逃げた川田キセキ。
玉砕逃げ、サムライに見えた。
キセキは有馬でこの秋4戦めだった。「9月以降、3戦以上使われた馬は馬券にならない」が有馬攻略データに加わって久しい。なのに単勝2番人気に支持されたのは、馬券買い、いや競馬ファンからの川田とキセキに向けたエールだ。私がもう少し若かったら、目から汗が出ていた。
しかしいまどき、負け戦(いくさ)とわかって出陣なんて流行らない。誰だよ、馬主に出走をそそのかしたの。主催者は、出走を特にお願いするなら個人馬主じゃなく、ほめちぎられた大手のクラブ馬にしろ。これでキセキの来年、再来年がパッとしなくなったら、出走を決断した陣営の自己責任てことになるのか? ああ、いやだいやだ。
検討をややこしくしてくれたオジュウチョウサンは9着。5番人気だったが、馬友によると、前日は2番人気だったそうだ。馬主さん、きっと単勝にしこたまブチこんだね。
障害でいくら強いったって平地では1000万下を勝っただけの馬。お話にならないという声もあったが、年齢と経験を考えると勝ち馬から0.8差なら大したもんだ。平地参戦が1年早ければ……と惜しまれる。オジュウチョウサンは飛越の際の着地に危なっかしいところがあって、観ていてヒヤッとすることがたびたびあった。今日の新聞によると、オーナーは春天参戦を表明したそうだが、年明けたら8歳。伯父にあたるアルアランを応援し、オリオンスターズをPO馬に指名していた身としては無事を祈るしかない。
スウェプトオーヴァーボード産駒初の長距離砲と騒がれたリッジマンは12着敗退。そりゃそうなる。ステイヤーズからの有馬でどうなるかはアルバートが2年連続で教えてくれてる。有馬で快走させたい気持ちがあるなら、来年はステイヤーズじゃないレースを叩きにしてほしい。アドマイヤモナークだって、有馬で2着になった年の後半は秋天とジャパンカップでしか走っていない。
この日、WIN5はキャリーオーバー。
2番人気→11番人気→8番人気→7番人気で決まった時点で4口が残り。まさか最後に3番人気を入れてなかったとは。モズ2口、オジュウ1口、レイデオロ1口、どれもいいとこは突いてんだけど。
こういう運の外し方は、あとからジワジワ効いてくる。怖い怖い。
【感想】 2018 朝日杯フューチュリティステークス
Flashの不具合でJRAのレース映像とパトロールビデオが観られない。TV録画はうっかり忘れた。というわけで、youtubeにあげられたレース映像のみを観ての感想になる。
いつもの感想は掲示板内の馬だけで力尽きてしまうので、今回は趣を変えて、ビリになった馬から書いていくことにする。例年、朝日杯出走馬の大半が、その後、勝ち鞍の上乗せに苦労して、多くはひとつも増やせず消えていく。私も何年に何が出ていたかすぐに忘れる。二度と振り返らないかもしれないが、備忘録のつもりで。
15着 ニホンピロヘンソン(浜中)
ルーラーシップ×コマンダーインチーフ×ブレイヴェストローマン×インファチュエイション
栗東・安達厩舎。馬主は小林百太郎氏。生産牧場は友田牧場。
調教は良かった。馬柱を見ると、開幕4日め阪神新馬芝1400のタイムがいい。マイルは未経験だが、ゴール前の急坂を経験しているのは心強い。鞍上は浜中。心配は、外枠と2ヶ月の休み明け緒戦でG1はどうかという点だった。
レースぶりは「あちゃー(~_~;)」。スタートでは騎手の上体が立ち上がるロス。そこから3コーナーの入り口までは途中で後方2番手の位置から前へ前へと進出し、4コーナーを回って直線に向かったときには騎手に合図のステッキを一発もらうも反応なし。
結果は勝ち馬から2秒7遅れのビリ。競走実績からするとありえないので、故障したかと思った。あのレースぶりで直線ビュンと反応して馬券内に来たなら「父ルーラーシップのいいとこも悪いとこも兼ね備えた馬」になったのだが。
ジョッキーコメントは「レース前に入れこんで終わってました」。故障でないなら幸い。9月デビューの3か月後G1。人間にもいる。地区大会で勝ち上がったが、ひとつ上の都道府県大会では空気に呑まれてアタマ真っ白。
浜中がヘンソンの状態を確かめて、あえて後々のために直線でステッキ乱打&無茶追いをしなかったのなら浜中に感謝したい。朝日杯ビリ馬は、ビリ以外の二ケタ着順馬より案外生き残っている。阪神移行後を例にとると、2014年度のビリ馬は2勝を積み上げて1600万下馬になり(現在は抹消)、2015年度馬はOP入り(現在休養中)、2016年度馬は3歳初夏で抹消(使い倒しブルベア馬)、2017年度馬はもともと地方馬(現在は門別から岩手転籍)。
ヘンソンは、出走馬中、血統にサンデーサイレンスが入っていない3頭のうちの1頭である。血統的にマイルは守備範囲、それよりもっと距離を伸ばしてもいいくらいだ。パニックは癖になるので(脳にそういう回路ができてしまう)日常的にマッサージや曳き運動で落ち着かせるのはもちろん、馬場運動はコースでゆったり、調教も坂路ではなくウッドで長目をじっくり、クラシックだNHKマイルだなどと焦ることなく仕切り直しをしてもらえたら幸いである。
ここからは少し余談を。
競馬を、春秋たけなわの芝G1しかやらなくなって久しかった。中間には競馬どころじゃなかった数年もある。だから、今年の朝日杯の出馬表にニホンピロと小林百太郎さんの名前を見つけて嬉しかった。懐かしさもあったが、失礼ながら「ご存命でいらした」と。
小林百太郎さんのお人柄については下記記事に詳しい。記事の最後のほうにはニホンピロヘンソンの生産牧場、友田牧場の名前もある。
小林百太郎さんが、 小岩井農場の基礎輸入牝馬の血を引く繁殖を買われたのは、約50年前。ヘンソンはその曾孫にあたる。「ニホンピロヘンソン 牝系図」で検索して、そのページを見ていただきたい。ヘンソンのひいおばあちゃんニホンピロアスターから出た子孫はすべて小林さんが所有しておられる。こんな馬主、滅多にいない。
14着 ソルトイブキ(四位)
栗東・木原厩舎。馬主は杉浦敏夫氏。生産牧場は野坂牧場。
調教はしまい強めで可もなく不可もなく。阪神は未経験、3戦目の京都で初勝利を挙げ、朝日杯に参戦。よくいるタイプだ。ただ、この馬が勝ち上がりに3戦も要したのは運がなかっただけのようにも感じられた。しかし足りないのは運ではなく、ビビりを補うだけの気の強さだった。
ジョッキーのレース後コメント「他馬が寄ってきて、経験が少ない分、馬が怖がって急ブレーキをかける形になってしまいました。今日は何もさせてもらえませんでした。500万下から出直します」。
ヒラソールに寄られて気が萎えてしまったらしい。血統5代内にサンデーサイレンスの3×3のクロス(血量25%!)を持っているのに、ビビりというのは面白い。サンデーサイレンスの獰猛性は、“パーソナルスペースの絶対確保”の使命感情からくるんじゃないかと仮説を立てたくなるほどに。
なんにせよ、ビビりも個性である。すでに1勝していることと、騎手コメントの「500万下から出直します」が救いだ。出し抜け狙いでレースに慣れていくうち、オスが目覚めてビビりの克服につながればいい。
栗東・安田隆厩舎。馬主はサンデーレーシング。生産牧場はノーザンファーム。
勝ち馬から2秒1差。初戦の中京マイルは落としたが、新潟マイルで二連勝。右回りは未経験だが、連勝に加えてこの生産牧場、馬主、血統で、突発的な病気発症や故障じゃないのにこの着順着差はありえない。ありえないが、平坦新潟にしか勝ち鞍のない2歳馬ならありえる。結果論だが、たとえ外厩で坂路を登らせ、右回りの模擬戦を済ませていても、レースに出ることが精いっぱいのこの時期は、実戦が一番身につくということだろう。
それ以外にも負けの要因はある。あえて言うなら、騎手デムーロ弟と厩舎の慢心だ。帰厩してからの調教は、馬がまだ幼いことを忘れていたのではないか。次に本戦での位置取り。デムーロ弟は同じ阪神マイルだから1週前の阪神JFの乗り方をすればいいと決めてかかっていたのではないか。
これで3着内に入るようなら、ケイデンスコールは皐月またはNHKマイル~ダービーの馬券候補になってたはずだが、レース前と後とでは評価が一転、馬が弱いという声が強い。馬のせいじゃない。人間の注意深さが足りなかった。
12着 ドゴール(津村)
サクラプレジデント×ブラックタイアフェア―× Wavering Monarch × His Majesty
美浦・黒岩厩舎。馬主はカナヤマ・ホールディングス。生産牧場は豊洋牧場。
タイムはともかく、調教量は豊富だった。前走でグランアレグリアの2着になったということで穴人気していた。
二桁着順は初の長距離輸送と右回り未経験がすべて。位置取りを前にとったところで着順を2つ3つ上げていたかどうか(馬主的には一桁着順と二桁着順では大違いだろうが、馬主になる以上は二桁敗退もあると織り込み済みだろう)。
ドゴールは母系が良い。日高の誰が最初に、三代母のバトルクリークガールの娘たちに目をつけたか知らないが、功労牝系と言っていい。
11着 コパノマーティン(坂井)
スクリーンヒーロー×ディラントーマス×ゴーンウェスト×ポリッシュプレセデント
英語で打つのが面倒なのでカタカナにした。
コパノマーティンの5代内クロスはダンチヒの4×4×5(血量15.63%)にノーザンダンサー5×5×5(血量9.38%)、ヘイルトゥリーズン5×5(6.25%)、ヒズマジェスティ5×5(6.25%)。断言する。これは血統ヲタクが考えた配合だ。
であれば、ダンチヒやヒズマジェスティの血脈は、お薬や動物性飼料でホルモンどぴゃーにしなけりゃ本来が晩成傾向なのを知っておろう。ならば休ませよう。相手は工業製品ではないのだから、イメージを持って育てる気持ちを持とう。芝とダートのまぜこぜ7戦目で馬のメンタルが壊れかけている。
5戦目にようやくダートで勝ち上がって、次のダート500万下で大敗したのに、1か月後には芝G1に出走させる意味はなんだろう? 今回、人気より着順が上になったのは、たまたまだ。「せっかく走る配合考えたのに、思ってたのと違うから早めに潰す」というのなら「そういう考えもあるよね」だが、それは風水が奨励する思考なんだろうか(断捨離的な?)。
10着 マイネルサーパス(丹内)
アイルハヴアナザー×タマモクロス×ナイスダンサー×アローエクスプレス
美浦・高木厩舎。馬主はサラブレッドクラブ・ラフィアン。生産牧場はビッグレッドファーム。
東京未勝利1800m戦、福島500万下特別1800m戦を連勝して臨戦。調教は、時計的には目立たないが量が豊富。
スポーツ紙で、レース前の高木調教師のコメント、「追い詰めると考えてしまいそうなタイプなので、イライラさせないように気をつけながら本数を重ねた」を読んで、感動した。競走馬を持てるなら、一頭一頭、馬の個性・メンタルまで考えてくれる調教師に託したい。社台系馬をほとんど預かったことがなく、成績的にもパッとしない高木厩舎だけど、そういう姿勢でいてくれてるとは知らなかった。
しかし、結果知ってガックリ。「やっぱりタンナイか」。初の関西遠征が影響した可能性はあるけれど、この大敗は、厩舎、調教師、馬のせいじゃない。
ジョッキーのコメント。
「展開が厳しかったです。立て直して巻き返しを狙います」。
やかましわ、お前が言うな と、ちょっと思った。2歳中距離の大一番でこの騎手を指名したのは誰なんだろうか。そりゃ前走で勝たせてるから継続騎乗もアリだけど、結果的には新馬から3走騎乗していた先行バカの柴田大知のほうがなんぼかマシだったかもしれん。同じ柴田でも、ヨシトミ先生なら悪くても掲示板下に持ってきてただろうけど、まぁ乗らないだろう(形式馬主の後ろにいる人がウルサすぎる)。
マイネルサーパスの扱いにくさ、神経質さは母系からきているようだ。しかし癇癪着火の速さは「おだて弱さ」と表裏一体。たいてい自己中で寂しがり屋だ。サラブレッドは体がでかい上に筋肉お化けで、怒ると攻撃が殺傷能力に直結する。それだけに人間の扱いと同列にしにくいが、「上客だけど気難しい客」接客のコツにヒントがありそうだ。
9着 イッツクール(松田)
アルデバランⅡ×エンパイアメーカー×アグネスタキオン×ガルチ
栗東・武英厩舎。馬主は久木田隆氏。生産牧場は日本中央競馬会日高育成牧場。
調教は坂路でもCWでもしまいのみ。血統的にはダート馬だが、勝ち鞍は2勝とも芝。初勝利は札幌1200、2勝目は阪神1400で挙げている。1400の勝ちタイムは2歳9月としては悪くない。前走で園田・兵庫ジュニアグランプリ(ダート1400 6着)を使ったのは、「間隔を詰めて使ったほうがいいから」(調教師談)らしい。
結果的に9着は、人馬とも健闘だった。走りがきれいなので、この先も芝の短距離でそこそこやれそうだ。
それにしても日本中央競馬会、ミスプロクロス2×5×5(血量31.25%)の馬つくるの怖くなかったか?(血量はわずかだが、8代内にあるバックパサーのクロスがいい方向に働いてくれたのかもしれない)
8着 ヒラソール(岩田)
マツリダゴッホ×ボストンハーバー×ミルジョージ×キタノカチドキ
栗東・加用厩舎。馬主は阿部榮乃進氏。生産者は阿部栄乃進。
JRAの‘今日の出来事’によると、スタート直後、内側に斜行(被害馬:ソルト、マイネル、ドゴール)したようだ。斜行がどの程度のものか確認できないので迂闊なことは言えないが、徒競走で出鼻をくじかれるのは、キャリアが少なく距離が短ければ短いほど影響が大きい。
ヒラソールの前走は京都1200未勝利戦。血統を見、馬柱を見て即消しした1頭だが、8着はさすが岩田といったところか。
7着 アスターペガサス(福永)
ジャイアンツコーズウェイ×トリッピ×ゴールドフェヴァー×カポーティ
栗東・中竹厩舎。馬主は加藤久枝氏。生産牧場は Stonestreet Thoroughbred Holdings。
調教は悪くなかった。しかしこれも、血統を見、馬柱を見て即消しした1頭。
結果が出た後、「内枠の福永は前づまりしてダメなこともあるが、マイルだとやっぱ怖いなぁ」……と思ったが、映像を二度三度見ると直線でエライことになっていた。手綱にムチが絡まなかったら、掲示板に届いていた可能性もあっただろうか。
勝ち馬に1,5秒離されての入線だけれど、前半は首を振りっぱなし、後半はアクシデント、それで掲示板下なのだから隠れたスタミナ馬だ。一介のスプリンターで終わらせるには惜しい。中距離戦で息いれることを覚えつつ、来年か再来年の暮れの有馬に出走登録しないかしら。
6着 エメラルファイト(ビュイック)
2週連続、調教にはビュイックが騎乗。外国人騎手にしては慎重かつ軽め。エメラルファイトの競走成績の1勝は6月東京芝マイル新馬戦のもので、9月から再始動、札幌と東京、いずれも芝1800mで4着3着。
調教判断は難しいが、競走実績は文句なし。父はクロフネで、今回乗るビュイックは、今年、ドバイシーマクラシック、クィーンエリザベスⅡ世カップ、英ダービーで騎乗馬を勝たせ、日本ではマイルチャンピオンシップでステルヴィオを勝たせている騎手である。
問題は初の関西遠征と大外枠だったが、ソルトイブキと前後してしんがり追走になりながら、上がり33.5で6着は立派。距離適性がどこにあるか、芝がいいかダートがいいかはわかりかねるが、ポテンシャルの高さを感じた。
5着 ディープダイバー(川田)
ブラックタイド×レイヴンズパス×サドラーズウェルズ×アイリッシュリヴァー
栗東・大久保龍厩舎。馬主はノースヒルズ。生産牧場は平山牧場。
調教は○、4戦目の阪神芝1400(重)で初勝利だが、その時の勝ち時計がいい。
初勝利までも2着2着3着と惜敗で、初勝利後の京都2戦(いずれも芝1400)も惜敗の連続2着。典型的な「相手なり」。こういうタイプは、使いづめ(疲労の蓄積)にさえ気をつければ、来夏、古馬との混合戦でも相手なりに善戦してくれる。格上挑戦で穴をあけるのも同じタイプだ。
上位馬は確かに強かったが、今回の5着は4コーナーで内にモタれたぶんだろう。このモタレで最内にいたクリノガウディ―がブレーキをかける不利。川田はダイバーがモタれる原因になる行動(左鞭を使う等)をとっておらず、明らかに馬の癖なのだが、まっすぐ走らせる義務を怠ったとして過怠金3万円の制裁を受けている。川田はダイバーの5戦目からの騎乗なので、癖がそれまでについていたとしたら気の毒だ。
相手なり+モタレ癖は、モタレ癖が治らない限り次の勝ちまでが遠くなる。厩舎はいろいろ工夫しているようなので、春頃にはモタレがマシになることを願う。
4着 ファンタジスト(武)
栗東・梅田厩舎。馬主は廣﨑利洋。生産牧場は Shall Farm。
1週前の坂路調教の時計が破格すぎてスポーツ紙の記事になっていた。森厩舎かと思ったら梅田厩舎だった。梅田厩舎は2011年頃から飛び石確変に入ったようだ。
競走成績は中京と小倉の芝1200で2勝、東京芝1400(G2)で1勝。
3戦3勝の無敗馬はこの馬とアドマイヤマーズの2頭だけ。
一方で、鳴り物入りで参戦してきた牝馬グランアレグリアは、前日夜8時半の時点で単勝1.5倍、複勝1.0倍の評価を受けていた(最終的には単勝1.5倍、複勝1.1倍)。
単はどれにするか、連系馬券で黒字にするには何をどう買うか、工夫が要る。
ファンタジストの扱いは「競馬にドラマを作るべく、ここは忖度が働く」見方と「ここでタケユタカが勝てるくらいなら、タケユタカはとっくに朝日杯を獲っている」見方のふたつが可能だった。
結果、馬券にはならなかったが、これに判断力と経験とアラフィフより若い筋力を兼ね備えた騎手が乗っていたらどうだったか。馬の能力は相当高い。
ディープインパクト×タピット×マーリン×フォーチュネイトプロスペクト
美浦・藤沢和厩舎。馬主はサンデーレーシング。生産牧場はノーザンファーム。
グランアレグリアの母タピッツフライは4歳時にアメリカの芝マイルG1を2勝。その後、1億5千万円でノーザンの勝己さんに落札されて日本に来た。しかし好事魔多し、不受胎が2年続き、やっと初仔(当馬)と第二仔(牡)に恵まれたと思ったら、今年の3月初め、突然逝去(おそらくは事故?)。ノーザンが今年、リスクやムダを最大限に回避して国内G1獲りに躍起になった事情の一端がうかがわれる。気持ちはわかる。ノーザンの商売の仕方の「結果的にいいとこ」もわかるだけにわかる。
鞍上ルメールは位置取りが巧かった。逃げるイッツクールがいつ垂れてもいいように、ポジションをずっとイッツクールの斜め後ろにとって二番手。しかしそのすぐ後ろで、ミルコ(デムーロ兄)がルメールをがっちりロックオンしていた。
ミルコは牝馬にも容赦しなかった。4コーナーの終り口で最接近、直線コースに向かってルメールが馬に一瞬息をいれさせたところで強襲、並びかけると同時に幅寄せ(故意かどうかは知らん)、最内で粘るイッツクールともども内に押し込んだ。この部分、マーズとアレグリア、アレグリアとイッツクールの馬体が接触してこすれたように見えるが、パトロールビデオではないので正確なところはわからない。
これにより、イッツクールは抵抗の気力を失って脱落。アレグリアは盛り返すと見えたが、トップスピードに乗りきれないままクリノガウディ―にも抜かれて3着敗退。
牡馬より斤量が1kg軽く、内枠の利もあったとはいえ、初の長距離輸送に「実戦では初」の右回り。そこに仕掛けられたドッグファイト(応戦はしなかった。だってホースだもん)。それでよく3着を死守したと思う。ノーザン・サンデーR・藤沢和のお嬢さま、動転しなかったはずはない。アレグリアは馬たらしルメールをよっぽど信頼しているのだろう。
アレグリアの今後は次走でわかる。記憶に残るあのシーンで呼び起こされるものが恐怖か怒りか。怒りなら彼女はもっと強くなれる。
2着 クリノガウディー(藤岡佑)
スクリーンヒーロー×ディアブロ×メジロライアン×ノーザンディクテイター
栗東・藤沢則厩舎。馬主は栗本博晴氏。生産牧場は三輪牧場。
1週前も良かったが、当週追い切りはもっと良かった。競走成績は京都芝1800で勝利、二戦目(前走)に東京スポーツ杯2歳Sに出走して7着。東スポ杯の着順だけ見ると買えないが、勝ち馬ニシノデイジーとの着差は0.5。追い切りの良さも加味すれば、ヒモとしては買える。しかし2着に食い込めるとまでは思わなかった。
鞍上の藤岡佑はチャンピオンズCでウェスタールンドに最内走りの面白いレースをさせたが、朝日杯でも1枠1番を生かして、ガウディ―に出し抜けと言おうか漁夫の利と言おうか、面白いレースをさせた。デムーロはルメールを標的にして脚を鈍らせたが、それをすぐ後ろで目撃した藤岡佑は進路を外にとって猛然と追い込みを開始した。映像を観返すと、外国人二人の鞘当て(さやあて)を尻目にゴールめがける藤岡ガウディ―、といった風に見えて可笑しい。
アドマイヤマーズが強すぎたために2馬身差の2着に終わってしまったが、藤岡佑の瞬時の判断力と柔軟な思考、および4コーナーで不利をこうむりながら、それをものともしなかったガウディーの勝負根性を賞賛したい。藤岡佑騎手は、競馬において骨格にハンディのある日本人騎手が、西洋系の血を持った騎手に伍するために必要なものが何かを示唆してくれている。
がんばったクリノガウディーだが、懸念をひとつ。レースを重ねるたびに気が荒く、神経質になってはいないか。それを競走馬として強くなった証拠と楽観視していると、いつのまにか「気」と「体」が空回りして成果が出なくなっていた、ということがありうる。こまめなリラックスタイムが必要な馬だと思う。
1着 アドマイヤマーズ(Mデムーロ)
栗東・友道厩舎。馬主は近藤利一。生産牧場はノーザンファーム。
出自(生産牧場)◎、調教◎、騎手◎、血統△、経過◎。
血統を△にしたのは、ただの好き嫌いである。私は種牡馬ダイワメジャーが好みではない。なぜなら、近年G1しかしていない私にとって、ダイワメジャーはマイルまでの種牡馬だからだ(産駒が牝ならそこに「安定性のなさ」が加わる。昨秋から今春に4連勝したミスパンテールは特異タイプ)。
しかし、ここはマイルG1、◎でなくても○でいいはず。一度は○にしてみた。だが、気持ち的にやっぱり△。
…にもかかわらず頭をアドマイヤマーズに決めたのは、調教の慎重さ、言い換えれば工夫を感じたからだった。一週前はジョッキー(デムーロ兄)騎乗でCW、当週は助手騎乗で坂路。それぞれの調教タイムは、場所のみならず課題を変えて追わせたことを示していた。つまり友道師は、漫然と、併せた相手にどれだけ先着できたかで調教とする調教師ではないということであり、送り出された以上、デムーロ兄とマーズは与えられた課題に合格したと考えるのが自然で、賭けでもあった。
アレグリアの項にも書いたように、デムーロ兄はやっぱりここでも狙った馬にタイトな競馬を仕掛けた。私は性根がぬるいので、そこだけがちょっと……である。