【反省】 2018 有馬記念

 「おお、池添勝ったのか、おめでとう!」

これが最初の感想だった。

知らないというのは幸せだ。馬券ハズしたけど祝福した。

実体は天栄のワンツーだった。

訂正する。天栄、おめでとう!

 

仕事がヤバくてヤバくて、尻に火どころか火ダルマだったのに、有馬記念もやりたかった。あれも心配これも気がかりという状態であっちこっちに気が飛んで、結局、天皇誕生日の数字合わせ(1・2・3・12番)ボックス馬券各種と、G1のこの条件には珍しい父産駒3頭(2・9・10番)の複勝を買った。

思い返せば精神状態が普通じゃなかった。追い詰められると昔のクセが出る。やるに事欠いて、競馬を再開する前の『新聞の馬柱とにらめっこ』オンリーに退行し、「このレースは難しい」と思いこんでしまった。

仕事上のいくつかの急ぎ事案は、尻着火の時点で、退社後に家で片づけることが可能だった。

しかし……。

だらだらと終わったレースの感想(前記事)なんか書いてるからだ。そんな時間あるなら寝ろ。寝られないなら仕事しろ。現実逃避して興奮してる場合か。

 

ブラストワンピース菊花賞4着を「 あのスローペースだから4着に来れた」ととるか「あのスローペースを追い上げて4着だから強い」ととるか。私は前者だった。だが、前走をどうとるかは、ノーザン産で天栄仕上げの社台系クラブ馬にはまったく無駄なテーマだった。単に先入観を強化するだけ。マイナスにしかならない。

この有馬記念で、ノーザン産かつ天栄仕上げの社台系クラブ馬は2頭だけ勝ったブラストワンピース2着レイデオロである。これをちゃんと、検討時に確認すべきだった。そりゃいくら天栄仕上げのクラブ馬でも(ブラストの菊花賞がそうだったように)100%馬券になるとは限らない。しかし1レースあたりの出走頭数が少なくて馬券内確率が異常に高いG1で、それを買わないのはアホの極み。なんのためにアーモンドアイが回避したと思ってんだ。脳味噌ないのか、おのれは。

ブラストワンピースに課題があったとして、それは天栄の特進科スペシャルコース(そういう名称じゃないかもしれないが)の精鋭が、菊花賞後からの一ヶ月と少しの期間で、段階的にクリアさせたようだ。また、有馬での池添の位置取りコース取りは、ダービーや菊花の時と異なり、巧かった。イメトレを相当したように感じる。急に歯車がピッタリ合った人馬のレースぶりだったから、ひょっとしたら池添は、平日、ワンピースに乗りに天栄まで行っていたかもしれない。

この記事を書くにあたって、ブラストワンピースの大竹厩舎帰厩後の中間調教を(字面だけど)確認したが、前週に行われた朝日杯のアドマイヤマーズ友道厩舎ほど目的意識が明瞭には思えなかった。もしかして大竹先生、「天栄と池添にお任せ」の人なんだろうか? わからんけど。

2着レイデオロは、このレースを制するには位置取りがやや後ろ過ぎたように思う。キセキの参戦により、前後フラットなミドルペース、持久力勝負になるが、自分の馬はそれでも勝てる、前崩れになる、と見込んでの位置取りだろうか。が、小雨が降りそぼる中山、前で運ぶ馬たちで決まることもありえた。2着だからそのバクチに負けたとは言えるが、下りの勢いを利用したゴール前は鬼気迫る激追いだった。

 

その1着2着より目に焼きついたのが、細かい雨粒に煙る中山を果敢に逃げた川田キセキ。

玉砕逃げ、サムライに見えた。

キセキは有馬でこの秋4戦めだった。「9月以降、3戦以上使われた馬は馬券にならない」が有馬攻略データに加わって久しい。なのに単勝2番人気に支持されたのは、馬券買い、いや競馬ファンからの川田とキセキに向けたエールだ。私がもう少し若かったら、目から汗が出ていた。

しかしいまどき、負け戦(いくさ)とわかって出陣なんて流行らない。誰だよ、馬主に出走をそそのかしたの。主催者は、出走を特にお願いするなら個人馬主じゃなく、ほめちぎられた大手のクラブ馬にしろ。これでキセキの来年、再来年がパッとしなくなったら、出走を決断した陣営の自己責任てことになるのか? ああ、いやだいやだ。

 

検討をややこしくしてくれたオジュウチョウサンは9着。5番人気だったが、馬友によると、前日は2番人気だったそうだ。馬主さん、きっと単勝にしこたまブチこんだね。

障害でいくら強いったって平地では1000万下を勝っただけの馬。お話にならないという声もあったが、年齢と経験を考えると勝ち馬から0.8差なら大したもんだ。平地参戦が1年早ければ……と惜しまれる。オジュウチョウサンは飛越の際の着地に危なっかしいところがあって、観ていてヒヤッとすることがたびたびあった。今日の新聞によると、オーナーは春天参戦を表明したそうだが、年明けたら8歳。伯父にあたるアルアランを応援し、オリオンスターズをPO馬に指名していた身としては無事を祈るしかない。

 

スウェプトオーヴァーボード産駒初の長距離砲と騒がれたリッジマンは12着敗退。そりゃそうなる。ステイヤーズからの有馬でどうなるかはアルバートが2年連続で教えてくれてる。有馬で快走させたい気持ちがあるなら、来年はステイヤーズじゃないレースを叩きにしてほしいアドマイヤモナークだって、有馬で2着になった年の後半は秋天ジャパンカップでしか走っていない。

 

この日、WIN5はキャリーオーバー。

2番人気→11番人気→8番人気→7番人気で決まった時点で4口が残り。まさか最後に3番人気を入れてなかったとは。モズ2口、オジュウ1口、レイデオロ1口、どれもいいとこは突いてんだけど。

こういう運の外し方は、あとからジワジワ効いてくる。怖い怖い。