ロクロクの独り言

SNSやネットで馬の情報を漁ってたら、「社台系 vs 日高とその他」や「社台・ノーザン系の繁殖牝馬は○○だけど日高の繁殖は●●」との文言をよく目にする。前者はまだいい。その他大勢の雑魚の一員である私は、歴史的経緯は別にして判官びいきでつい日高を応援したくなり、そういう対立図式でレースを観、馬券を買うことがあるから。

でも後者の弁はちょっと気分がよろしくなくなる。●●なのはまるで「馬のせい」と言わんばかりだ。いや違うだろと、そもそもの配合から出生環境、生育飼養環境、育成環境、出産環境、もろもろがその馬の体質や能力に関わってくるんじゃねーの?と思うのだ。

んなこと言うと、「わしらにこれ以上どう努力しろと言うんだ、アレはこうなったしコレはああなったし、八方塞がりでカツカツなんじゃ!」「文句言うならお前が金出して馬を買ってくれるのか、わしら家族を養ってくれるのか」と怒鳴り込んでくる人がいそうで怖い。でも私も今は田舎暮らし、いろいろ社会を経験して、大正生まれの祖父がよく奴隷根性とイコールな意味合いで百姓根性という言葉を使っていたのを思い出す。

祖父は、「百姓は奴隷だ」と言っていたのではない。小作農・自作農・地主がいた時代の、小作農と小規模自作農の精神性について言っていたのだ。それが農地解放を経た戦後数十年も基礎メンタルのまま改善されないから怒り狂っていた。もっとも、祖父の激烈な性格では、周りが奴隷でなくなったら寝首かかれてただろうけど(彼は家でも絶対君主の恐ろしい存在だった)。

なんとなく、なんだけども、上位者が狡知にも長けた実力者だったら顔色見てへつらって、番頭気取りのコバンザメになって周りに対してふんぞり返り(いわゆる虎の威を借るってやつ)、上位者がただの性善説主義者か世間知らずならおだてて取り入り、ウマい汁だけ吸う。そして旗色が悪くなったら罵りながら離れていく。そういうのが馬産地にも多いと思うのね。社会的動物の性だけどさ。

 

昔、日高には

一世を風靡したけど資金繰りが悪化して横領事件を起こしたヨソ者馬産家がいたらしい。その人の全盛期は知らないが、競馬雑誌などに載った倒産事情と現地の混乱はうっすらと記憶している。

彼の人がおちぶれたのは、「おだてに乗ることで地域に良く思われようと」して、そこから足元を見られていって、自分は足元を見られなくなったからじゃないか、なんて思う。

当時(1970年代?)、東京の私大を出てカナダに私費留学した、本州民の中でも上流のお金持ちに属する青年と北海道民、背景が違いすぎるから同じ日本語をしゃべってても相容れるわけがない。気さくな上流民は悪気がない。自分の「普通」が相手には馬鹿にされたと感じることだったり、「良かれ」が屈辱と妬みの原因になることがわからない。そうして溝は見えないところで深まっていく。つながりはお金(仕事)だけ。

目利きのお大尽様と祭り上げられ、足下の火を「どうにかなる」と無視して浮かれていたらバブル崩壊。うーん。

種牡馬や繁殖導入で失敗も多かったろうけど、成功した種牡馬や繁殖はやっぱり今ふりかえっても偶然にしちゃ出木杉だと思う。壮大な青写真を描ける人が同時に経理全権を握って自爆したいい例だ。そういやバブル時代はリスク分散なんてコトバ、今ほど一般的じゃなかったもんな。職務上の上下関係に縛られてたら難しいけど、横の関係で助言なり苦言なりを呈してくれる人がいたら、運命はまた違ったものになっていたんだろうか。しかし資生園早田牧場天栄ホースパークがまだあるパラレルワールド、残念ながら想像できない。それが全てか。

尻拭いは社台さんがしたんだっけか。社台は善哉さんじゃなくて照哉さんの時代になってた……かな? よくわからん。でもよく買い取ってくれたもんだ。闇に流れた債権もあったろうに、債権整理に携わった人は寿命が十年は縮んだんじゃないかしら。

 

他の日高のそこそこ名のある牧場といえば、マイネルコスモさんとこは一時より話題にならなくなって久しいし、ダーレージャパンも、設立当初は「おっ」と思ったけど、よくわからんことになってるようだ。

マイネルコスモさんとこは 総帥がな~…総帥がな~…総帥が……どっち向いてはるのかわからない。

ダーレーは、地元対策はまぁわからんこともないけど、そのやりかたがちょっと間違ったかも。外国資本が日本の田舎メンタルに染まってどうするの。公設市場的な、改革も解散もできない自縄自縛体制になってる気がする。よく知らんけど。

改革するより引き揚げるほうが面倒が少ない状態になってなければいいけどね。

他にも名のある牧場はたくさんあった気がするが、私が競馬を始めた頃に馬柱でよく見かけた牧場の大半はすでに無い。

  

同じ非社台の中小や零細でも、日高に限らず、工夫しながら頑張ってるとこは頑張ってるんだろう。十把ひとからげにはできん。できんが、いい話が少ないのが残念だ。