2018 ホープフルステークス

 

買わないよ……

競馬なんて、「これならイケる」て思い込めるから買えるんだ

 

中山開催なのに天栄帰りのお馬がいない。

他のNF系外厩

山元が9番ジャストアジゴロ(田辺)、

しがらきが5番サートゥルナ―リア(ルメール)と8番アドマイヤジャスタ(Mデムーロ)。

悪くないよ、悪くないけど、乗っかっていいのかなぁって不安がよぎる。

しがらき組はツートップの騎手乗せてんだから、

そこに乗れる人が勝ち組って結果になるんだろうとは思う。

上記に、マーフィーが乗る7番ミッキーブラックや、デムーロ弟が乗る11番ヴァンドギャルドを加えれば、このところの傾向では当たりに最も近くなるんだろう。

ただ問題は、何を軸にすればいいか何を軸にすれば安心できるか

 

馬だけ見れば、私は

3番キングリスティア、1番ニシノデイジー、11番ヴァンドギャルドの順に魅力を感じる。次に2番ブレイキングドーンと5番サートゥルが同列に入ってくる。じゃあ3番を軸にすればいいじゃないかと言われるかもしれないが、内枠3頭と外枠1頭の並びが、先週の有馬記念と同じ買い目に見えて、それが同じ失敗を招くようで怖い。内枠、ひどく荒れてんじゃないの? 内枠の騎手3人とも、なんか自分的にはめっちゃ不安あるし。

 

とかなんとか言ってたら8枠2頭の叩きあいになったりしてね。

8枠ったって、13頭立てだから実質6枠じゃん。

さあ、今日はあいさつ回りとお掃除の日だ。

あとで観るだけのレースにする。

迷ったら、間違っても手を出しちゃいかん。

G1は有馬で終わってほしかったよ。

【反省】 2018 有馬記念

 「おお、池添勝ったのか、おめでとう!」

これが最初の感想だった。

知らないというのは幸せだ。馬券ハズしたけど祝福した。

実体は天栄のワンツーだった。

訂正する。天栄、おめでとう!

 

仕事がヤバくてヤバくて、尻に火どころか火ダルマだったのに、有馬記念もやりたかった。あれも心配これも気がかりという状態であっちこっちに気が飛んで、結局、天皇誕生日の数字合わせ(1・2・3・12番)ボックス馬券各種と、G1のこの条件には珍しい父産駒3頭(2・9・10番)の複勝を買った。

思い返せば精神状態が普通じゃなかった。追い詰められると昔のクセが出る。やるに事欠いて、競馬を再開する前の『新聞の馬柱とにらめっこ』オンリーに退行し、「このレースは難しい」と思いこんでしまった。

仕事上のいくつかの急ぎ事案は、尻着火の時点で、退社後に家で片づけることが可能だった。

しかし……。

だらだらと終わったレースの感想(前記事)なんか書いてるからだ。そんな時間あるなら寝ろ。寝られないなら仕事しろ。現実逃避して興奮してる場合か。

 

ブラストワンピース菊花賞4着を「 あのスローペースだから4着に来れた」ととるか「あのスローペースを追い上げて4着だから強い」ととるか。私は前者だった。だが、前走をどうとるかは、ノーザン産で天栄仕上げの社台系クラブ馬にはまったく無駄なテーマだった。単に先入観を強化するだけ。マイナスにしかならない。

この有馬記念で、ノーザン産かつ天栄仕上げの社台系クラブ馬は2頭だけ勝ったブラストワンピース2着レイデオロである。これをちゃんと、検討時に確認すべきだった。そりゃいくら天栄仕上げのクラブ馬でも(ブラストの菊花賞がそうだったように)100%馬券になるとは限らない。しかし1レースあたりの出走頭数が少なくて馬券内確率が異常に高いG1で、それを買わないのはアホの極み。なんのためにアーモンドアイが回避したと思ってんだ。脳味噌ないのか、おのれは。

ブラストワンピースに課題があったとして、それは天栄の特進科スペシャルコース(そういう名称じゃないかもしれないが)の精鋭が、菊花賞後からの一ヶ月と少しの期間で、段階的にクリアさせたようだ。また、有馬での池添の位置取りコース取りは、ダービーや菊花の時と異なり、巧かった。イメトレを相当したように感じる。急に歯車がピッタリ合った人馬のレースぶりだったから、ひょっとしたら池添は、平日、ワンピースに乗りに天栄まで行っていたかもしれない。

この記事を書くにあたって、ブラストワンピースの大竹厩舎帰厩後の中間調教を(字面だけど)確認したが、前週に行われた朝日杯のアドマイヤマーズ友道厩舎ほど目的意識が明瞭には思えなかった。もしかして大竹先生、「天栄と池添にお任せ」の人なんだろうか? わからんけど。

2着レイデオロは、このレースを制するには位置取りがやや後ろ過ぎたように思う。キセキの参戦により、前後フラットなミドルペース、持久力勝負になるが、自分の馬はそれでも勝てる、前崩れになる、と見込んでの位置取りだろうか。が、小雨が降りそぼる中山、前で運ぶ馬たちで決まることもありえた。2着だからそのバクチに負けたとは言えるが、下りの勢いを利用したゴール前は鬼気迫る激追いだった。

 

その1着2着より目に焼きついたのが、細かい雨粒に煙る中山を果敢に逃げた川田キセキ。

玉砕逃げ、サムライに見えた。

キセキは有馬でこの秋4戦めだった。「9月以降、3戦以上使われた馬は馬券にならない」が有馬攻略データに加わって久しい。なのに単勝2番人気に支持されたのは、馬券買い、いや競馬ファンからの川田とキセキに向けたエールだ。私がもう少し若かったら、目から汗が出ていた。

しかしいまどき、負け戦(いくさ)とわかって出陣なんて流行らない。誰だよ、馬主に出走をそそのかしたの。主催者は、出走を特にお願いするなら個人馬主じゃなく、ほめちぎられた大手のクラブ馬にしろ。これでキセキの来年、再来年がパッとしなくなったら、出走を決断した陣営の自己責任てことになるのか? ああ、いやだいやだ。

 

検討をややこしくしてくれたオジュウチョウサンは9着。5番人気だったが、馬友によると、前日は2番人気だったそうだ。馬主さん、きっと単勝にしこたまブチこんだね。

障害でいくら強いったって平地では1000万下を勝っただけの馬。お話にならないという声もあったが、年齢と経験を考えると勝ち馬から0.8差なら大したもんだ。平地参戦が1年早ければ……と惜しまれる。オジュウチョウサンは飛越の際の着地に危なっかしいところがあって、観ていてヒヤッとすることがたびたびあった。今日の新聞によると、オーナーは春天参戦を表明したそうだが、年明けたら8歳。伯父にあたるアルアランを応援し、オリオンスターズをPO馬に指名していた身としては無事を祈るしかない。

 

スウェプトオーヴァーボード産駒初の長距離砲と騒がれたリッジマンは12着敗退。そりゃそうなる。ステイヤーズからの有馬でどうなるかはアルバートが2年連続で教えてくれてる。有馬で快走させたい気持ちがあるなら、来年はステイヤーズじゃないレースを叩きにしてほしいアドマイヤモナークだって、有馬で2着になった年の後半は秋天ジャパンカップでしか走っていない。

 

この日、WIN5はキャリーオーバー。

2番人気→11番人気→8番人気→7番人気で決まった時点で4口が残り。まさか最後に3番人気を入れてなかったとは。モズ2口、オジュウ1口、レイデオロ1口、どれもいいとこは突いてんだけど。

こういう運の外し方は、あとからジワジワ効いてくる。怖い怖い。

【感想】 2018 朝日杯フューチュリティステークス

Flashの不具合でJRAのレース映像とパトロールビデオが観られない。TV録画はうっかり忘れた。というわけで、youtubeにあげられたレース映像のみを観ての感想になる。

いつもの感想は掲示板内の馬だけで力尽きてしまうので、今回は趣を変えて、ビリになった馬から書いていくことにする。例年、朝日杯出走馬の大半が、その後、勝ち鞍の上乗せに苦労して、多くはひとつも増やせず消えていく。私も何年に何が出ていたかすぐに忘れる。二度と振り返らないかもしれないが、備忘録のつもりで。

 

15着 ニホンピロヘンソン(浜中)

ルーラーシップ×コマンダーインチーフ×ブレイヴェストローマン×インファチュエイション

栗東・安達厩舎。馬主は小林百太郎氏。生産牧場は友田牧場。

調教は良かった。馬柱を見ると、開幕4日め阪神新馬芝1400のタイムがいい。マイルは未経験だが、ゴール前の急坂を経験しているのは心強い。鞍上は浜中。心配は、外枠と2ヶ月の休み明け緒戦でG1はどうかという点だった。

レースぶりは「あちゃー(~_~;)」。スタートでは騎手の上体が立ち上がるロス。そこから3コーナーの入り口までは途中で後方2番手の位置から前へ前へと進出し、4コーナーを回って直線に向かったときには騎手に合図のステッキを一発もらうも反応なし。

結果は勝ち馬から2秒7遅れのビリ。競走実績からするとありえないので、故障したかと思った。あのレースぶりで直線ビュンと反応して馬券内に来たなら「父ルーラーシップのいいとこも悪いとこも兼ね備えた馬」になったのだが。

ジョッキーコメントは「レース前に入れこんで終わってました」。故障でないなら幸い。9月デビューの3か月後G1。人間にもいる。地区大会で勝ち上がったが、ひとつ上の都道府県大会では空気に呑まれてアタマ真っ白。

浜中がヘンソンの状態を確かめて、あえて後々のために直線でステッキ乱打&無茶追いをしなかったのなら浜中に感謝したい。朝日杯ビリ馬は、ビリ以外の二ケタ着順馬より案外生き残っている。阪神移行後を例にとると、2014年度のビリ馬は2勝を積み上げて1600万下馬になり(現在は抹消)、2015年度馬はOP入り(現在休養中)、2016年度馬は3歳初夏で抹消(使い倒しブルベア馬)、2017年度馬はもともと地方馬(現在は門別から岩手転籍)。

ヘンソンは、出走馬中、血統にサンデーサイレンスが入っていない3頭のうちの1頭である。血統的にマイルは守備範囲、それよりもっと距離を伸ばしてもいいくらいだ。パニックは癖になるので(脳にそういう回路ができてしまう)日常的にマッサージや曳き運動で落ち着かせるのはもちろん、馬場運動はコースでゆったり、調教も坂路ではなくウッドで長目をじっくり、クラシックだNHKマイルだなどと焦ることなく仕切り直しをしてもらえたら幸いである。

ここからは少し余談を。

競馬を、春秋たけなわの芝G1しかやらなくなって久しかった。中間には競馬どころじゃなかった数年もある。だから、今年の朝日杯の出馬表にニホンピロと小林百太郎さんの名前を見つけて嬉しかった。懐かしさもあったが、失礼ながら「ご存命でいらした」と。

小林百太郎さんのお人柄については下記記事に詳しい。記事の最後のほうにはニホンピロヘンソンの生産牧場、友田牧場の名前もある。

騎手とオーナー | Compassion コラム

小林百太郎さんが、 小岩井農場の基礎輸入牝馬の血を引く繁殖を買われたのは、約50年前。ヘンソンはその曾孫にあたる。「ニホンピロヘンソン 牝系図」で検索して、そのページを見ていただきたい。ヘンソンのひいおばあちゃんニホンピロアスターから出た子孫はすべて小林さんが所有しておられる。こんな馬主、滅多にいない。

 

14着 ソルトイブキ(四位)

ベルシャザール×フジキセキ×トニービン×ノーザンテースト

栗東・木原厩舎。馬主は杉浦敏夫氏。生産牧場は野坂牧場。

調教はしまい強めで可もなく不可もなく。阪神は未経験、3戦目の京都で初勝利を挙げ、朝日杯に参戦。よくいるタイプだ。ただ、この馬が勝ち上がりに3戦も要したのは運がなかっただけのようにも感じられた。しかし足りないのは運ではなく、ビビりを補うだけの気の強さだった。

ジョッキーのレース後コメント「他馬が寄ってきて、経験が少ない分、馬が怖がって急ブレーキをかける形になってしまいました。今日は何もさせてもらえませんでした。500万下から出直します」。

ヒラソールに寄られて気が萎えてしまったらしい。血統5代内にサンデーサイレンスの3×3のクロス(血量25%!)を持っているのに、ビビりというのは面白い。サンデーサイレンスの獰猛性は、“パーソナルスペースの絶対確保”の使命感情からくるんじゃないかと仮説を立てたくなるほどに。

なんにせよ、ビビりも個性である。すでに1勝していることと、騎手コメントの「500万下から出直します」が救いだ。出し抜け狙いでレースに慣れていくうち、オスが目覚めてビビりの克服につながればいい。

 

13着 ケイデンスコール(Cデムーロ

ロードカナロア×ハーツクライ×アレミロード×ディクタス

栗東安田隆厩舎。馬主はサンデーレーシング。生産牧場はノーザンファーム

勝ち馬から2秒1差。初戦の中京マイルは落としたが、新潟マイルで二連勝。右回りは未経験だが、連勝に加えてこの生産牧場、馬主、血統で、突発的な病気発症や故障じゃないのにこの着順着差はありえない。ありえないが、平坦新潟にしか勝ち鞍のない2歳馬ならありえる。結果論だが、たとえ外厩で坂路を登らせ、右回りの模擬戦を済ませていても、レースに出ることが精いっぱいのこの時期は、実戦が一番身につくということだろう。

それ以外にも負けの要因はある。あえて言うなら、騎手デムーロ弟と厩舎の慢心だ。帰厩してからの調教は、馬がまだ幼いことを忘れていたのではないか。次に本戦での位置取り。デムーロ弟は同じ阪神マイルだから1週前の阪神JFの乗り方をすればいいと決めてかかっていたのではないか。

これで3着内に入るようなら、ケイデンスコールは皐月またはNHKマイル~ダービーの馬券候補になってたはずだが、レース前と後とでは評価が一転、馬が弱いという声が強い。馬のせいじゃない。人間の注意深さが足りなかった。

 

12着 ドゴール(津村)

サクラプレジデント×ブラックタイアフェア―× Wavering Monarch × His Majesty

美浦・黒岩厩舎。馬主はカナヤマ・ホールディングス。生産牧場は豊洋牧場。

タイムはともかく、調教量は豊富だった。前走でグランアレグリアの2着になったということで穴人気していた。

二桁着順は初の長距離輸送と右回り未経験がすべて。位置取りを前にとったところで着順を2つ3つ上げていたかどうか(馬主的には一桁着順と二桁着順では大違いだろうが、馬主になる以上は二桁敗退もあると織り込み済みだろう)。

ドゴールは母系が良い。日高の誰が最初に、三代母のバトルクリークガールの娘たちに目をつけたか知らないが、功労牝系と言っていい。

 

11着 コパノマーティン(坂井)

スクリーンヒーロー×ディラントーマス×ゴーンウェスト×ポリッシュプレセデント

栗東・村山厩舎。馬主は小林祥晃氏。生産牧場は谷岡牧場。

英語で打つのが面倒なのでカタカナにした。

コパノマーティンの5代内クロスはダンチヒの4×4×5(血量15.63%)にノーザンダンサー5×5×5(血量9.38%)、ヘイルトゥリーズン5×5(6.25%)、ヒズマジェスティ5×5(6.25%)。断言する。これは血統ヲタクが考えた配合だ

であれば、ダンチヒヒズマジェスティの血脈は、お薬や動物性飼料でホルモンどぴゃーにしなけりゃ本来が晩成傾向なのを知っておろう。ならば休ませよう。相手は工業製品ではないのだから、イメージを持って育てる気持ちを持とう。芝とダートのまぜこぜ7戦目で馬のメンタルが壊れかけている。

5戦目にようやくダートで勝ち上がって、次のダート500万下で大敗したのに、1か月後には芝G1に出走させる意味はなんだろう? 今回、人気より着順が上になったのは、たまたまだ。「せっかく走る配合考えたのに、思ってたのと違うから早めに潰す」というのなら「そういう考えもあるよね」だが、それは風水が奨励する思考なんだろうか(断捨離的な?)。

 

10着 マイネルサーパス(丹内)

アイルハヴアナザー×タマモクロス×ナイスダンサー×アローエクスプレス

美浦・高木厩舎。馬主はサラブレッドクラブ・ラフィアン。生産牧場はビッグレッドファーム

東京未勝利1800m戦、福島500万下特別1800m戦を連勝して臨戦。調教は、時計的には目立たないが量が豊富。

スポーツ紙で、レース前の高木調教師のコメント、「追い詰めると考えてしまいそうなタイプなので、イライラさせないように気をつけながら本数を重ねた」を読んで、感動した。競走馬を持てるなら、一頭一頭、馬の個性・メンタルまで考えてくれる調教師に託したい。社台系馬をほとんど預かったことがなく、成績的にもパッとしない高木厩舎だけど、そういう姿勢でいてくれてるとは知らなかった。

しかし、結果知ってガックリ。「やっぱりタンナイか」。初の関西遠征が影響した可能性はあるけれど、この大敗は、厩舎、調教師、馬のせいじゃない。

ジョッキーのコメント。

「展開が厳しかったです。立て直して巻き返しを狙います」。

かましわ、お前が言うな と、ちょっと思った。2歳中距離の大一番でこの騎手を指名したのは誰なんだろうか。そりゃ前走で勝たせてるから継続騎乗もアリだけど、結果的には新馬から3走騎乗していた先行バカの柴田大知のほうがなんぼかマシだったかもしれん。同じ柴田でも、ヨシトミ先生なら悪くても掲示板下に持ってきてただろうけど、まぁ乗らないだろう(形式馬主の後ろにいる人がウルサすぎる)。

マイネルサーパスの扱いにくさ、神経質さは母系からきているようだ。しかし癇癪着火の速さは「おだて弱さ」と表裏一体。たいてい自己中で寂しがり屋だ。サラブレッドは体がでかい上に筋肉お化けで、怒ると攻撃が殺傷能力に直結する。それだけに人間の扱いと同列にしにくいが、「上客だけど気難しい客」接客のコツにヒントがありそうだ。

 

9着 イッツクール(松田)

アルデバランⅡ×エンパイアメーカー×アグネスタキオン×ガルチ

栗東・武英厩舎。馬主は久木田隆氏。生産牧場は日本中央競馬会日高育成牧場。

調教は坂路でもCWでもしまいのみ。血統的にはダート馬だが、勝ち鞍は2勝とも芝。初勝利は札幌1200、2勝目は阪神1400で挙げている。1400の勝ちタイムは2歳9月としては悪くない。前走で園田・兵庫ジュニアグランプリ(ダート1400 6着)を使ったのは、「間隔を詰めて使ったほうがいいから」(調教師談)らしい。

結果的に9着は、人馬とも健闘だった。走りがきれいなので、この先も芝の短距離でそこそこやれそうだ。

それにしても日本中央競馬会ミスプロクロス2×5×5(血量31.25%)の馬つくるの怖くなかったか?(血量はわずかだが、8代内にあるバックパサーのクロスがいい方向に働いてくれたのかもしれない)

 

8着 ヒラソール(岩田)

マツリダゴッホ×ボストンハーバー×ミルジョージ×キタノカチドキ

栗東・加用厩舎。馬主は阿部榮乃進氏。生産者は阿部栄乃進。

JRAの‘今日の出来事’によると、スタート直後、内側に斜行(被害馬:ソルト、マイネル、ドゴール)したようだ。斜行がどの程度のものか確認できないので迂闊なことは言えないが、徒競走で出鼻をくじかれるのは、キャリアが少なく距離が短ければ短いほど影響が大きい。

ヒラソールの前走は京都1200未勝利戦。血統を見、馬柱を見て即消しした1頭だが、8着はさすが岩田といったところか。

 

7着 アスターペガサス(福永)

ジャイアンツコーズウェイ×トリッピ×ゴールドフェヴァー×カポーティ

栗東・中竹厩舎。馬主は加藤久枝氏。生産牧場は Stonestreet Thoroughbred Holdings。

調教は悪くなかった。しかしこれも、血統を見、馬柱を見て即消しした1頭。

結果が出た後、「内枠の福永は前づまりしてダメなこともあるが、マイルだとやっぱ怖いなぁ」……と思ったが、映像を二度三度見ると直線でエライことになっていた。手綱にムチが絡まなかったら、掲示板に届いていた可能性もあっただろうか。

勝ち馬に1,5秒離されての入線だけれど、前半は首を振りっぱなし、後半はアクシデント、それで掲示板下なのだから隠れたスタミナ馬だ。一介のスプリンターで終わらせるには惜しい。中距離戦で息いれることを覚えつつ、来年か再来年の暮れの有馬に出走登録しないかしら。

 

6着 エメラルファイトビュイック

クロフネ×スペシャルウィーク×サマースコール×テンタム

美浦・相沢厩舎。馬主は高橋勉氏。生産牧場は金成吉田牧場

2週連続、調教にはビュイックが騎乗。外国人騎手にしては慎重かつ軽め。エメラルファイトの競走成績の1勝は6月東京芝マイル新馬戦のもので、9月から再始動、札幌と東京、いずれも芝1800mで4着3着。

調教判断は難しいが、競走実績は文句なし。父はクロフネで、今回乗るビュイックは、今年、ドバイシーマクラシック、クィーンエリザベスⅡ世カップ英ダービーで騎乗馬を勝たせ、日本ではマイルチャンピオンシップステルヴィオを勝たせている騎手である。

問題は初の関西遠征と大外枠だったが、ソルトイブキと前後してしんがり追走になりながら、上がり33.5で6着は立派。距離適性がどこにあるか、芝がいいかダートがいいかはわかりかねるが、ポテンシャルの高さを感じた。

 

5着 ディープダイバー(川田)

ブラックタイド×レイヴンズパス×サドラーズウェルズ×アイリッシュリヴァー

栗東・大久保龍厩舎。馬主はノースヒルズ。生産牧場は平山牧場。

調教は○、4戦目の阪神芝1400(重)で初勝利だが、その時の勝ち時計がいい。

初勝利までも2着2着3着と惜敗で、初勝利後の京都2戦(いずれも芝1400)も惜敗の連続2着。典型的な「相手なり」。こういうタイプは、使いづめ(疲労の蓄積)にさえ気をつければ、来夏、古馬との混合戦でも相手なりに善戦してくれる。格上挑戦で穴をあけるのも同じタイプだ。

上位馬は確かに強かったが、今回の5着は4コーナーで内にモタれたぶんだろう。このモタレで最内にいたクリノガウディ―がブレーキをかける不利。川田はダイバーがモタれる原因になる行動(左鞭を使う等)をとっておらず、明らかに馬の癖なのだが、まっすぐ走らせる義務を怠ったとして過怠金3万円の制裁を受けている。川田はダイバーの5戦目からの騎乗なので、癖がそれまでについていたとしたら気の毒だ。

相手なり+モタレ癖は、モタレ癖が治らない限り次の勝ちまでが遠くなる。厩舎はいろいろ工夫しているようなので、春頃にはモタレがマシになることを願う。

 

4着 ファンタジスト(武)

ロードカナロア×ディープインパクト×ディンヒル×ロベルト

栗東・梅田厩舎。馬主は廣﨑利洋。生産牧場は Shall Farm。

1週前の坂路調教の時計が破格すぎてスポーツ紙の記事になっていた。森厩舎かと思ったら梅田厩舎だった。梅田厩舎は2011年頃から飛び石確変に入ったようだ。

競走成績は中京と小倉の芝1200で2勝、東京芝1400(G2)で1勝。

3戦3勝の無敗馬はこの馬とアドマイヤマーズの2頭だけ。

一方で、鳴り物入りで参戦してきた牝馬グランアレグリアは、前日夜8時半の時点で単勝1.5倍、複勝1.0倍の評価を受けていた(最終的には単勝1.5倍、複勝1.1倍)。

単はどれにするか、連系馬券で黒字にするには何をどう買うか、工夫が要る。

ファンタジストの扱いは「競馬にドラマを作るべく、ここは忖度が働く」見方と「ここでタケユタカが勝てるくらいなら、タケユタカはとっくに朝日杯を獲っている」見方のふたつが可能だった。

結果、馬券にはならなかったが、これに判断力と経験とアラフィフより若い筋力を兼ね備えた騎手が乗っていたらどうだったか。馬の能力は相当高い。

 

3着 グランアレグリアルメール

ディープインパクト×タピット×マーリン×フォーチュネイトプロスペクト

美浦・藤沢和厩舎。馬主はサンデーレーシング。生産牧場はノーザンファーム

グランアレグリア母タピッツフライは4歳時にアメリカの芝マイルG1を2勝。その後、1億5千万円でノーザンの勝己さんに落札されて日本に来た。しかし好事魔多し、不受胎が2年続き、やっと初仔(当馬)と第二仔(牡)に恵まれたと思ったら、今年の3月初め、突然逝去(おそらくは事故?)。ノーザンが今年、リスクやムダを最大限に回避して国内G1獲りに躍起になった事情の一端がうかがわれる。気持ちはわかる。ノーザンの商売の仕方の「結果的にいいとこ」もわかるだけにわかる。

鞍上ルメールは位置取りが巧かった。逃げるイッツクールがいつ垂れてもいいように、ポジションをずっとイッツクールの斜め後ろにとって二番手。しかしそのすぐ後ろで、ミルコ(デムーロ兄)がルメールをがっちりロックオンしていた。

ミルコは牝馬にも容赦しなかった。4コーナーの終り口で最接近、直線コースに向かってルメールが馬に一瞬息をいれさせたところで強襲、並びかけると同時に幅寄せ(故意かどうかは知らん)、最内で粘るイッツクールともども内に押し込んだ。この部分、マーズとアレグリアアレグリアとイッツクールの馬体が接触してこすれたように見えるが、パトロールビデオではないので正確なところはわからない。

これにより、イッツクールは抵抗の気力を失って脱落。アレグリアは盛り返すと見えたが、トップスピードに乗りきれないままクリノガウディ―にも抜かれて3着敗退。

牡馬より斤量が1kg軽く、内枠の利もあったとはいえ、初の長距離輸送に「実戦では初」の右回り。そこに仕掛けられたドッグファイト(応戦はしなかった。だってホースだもん)。それでよく3着を死守したと思う。ノーザン・サンデーR・藤沢和のお嬢さま、動転しなかったはずはない。アレグリアは馬たらしルメールをよっぽど信頼しているのだろう。

アレグリアの今後は次走でわかる。記憶に残るあのシーンで呼び起こされるものが恐怖か怒りか。怒りなら彼女はもっと強くなれる。

 

2着 クリノガウディー(藤岡佑)

スクリーンヒーロー×ディアブロ×メジロライアン×ノーザンディクテイター

栗東・藤沢則厩舎。馬主は栗本博晴氏。生産牧場は三輪牧場。

1週前も良かったが、当週追い切りはもっと良かった。競走成績は京都芝1800で勝利、二戦目(前走)に東京スポーツ杯2歳Sに出走して7着。東スポ杯の着順だけ見ると買えないが、勝ち馬ニシノデイジーとの着差は0.5。追い切りの良さも加味すれば、ヒモとしては買える。しかし2着に食い込めるとまでは思わなかった。

鞍上の藤岡佑はチャンピオンズCでウェスタールンドに最内走りの面白いレースをさせたが、朝日杯でも1枠1番を生かして、ガウディ―に出し抜けと言おうか漁夫の利と言おうか、面白いレースをさせた。デムーロルメールを標的にして脚を鈍らせたが、それをすぐ後ろで目撃した藤岡佑は進路を外にとって猛然と追い込みを開始した。映像を観返すと、外国人二人の鞘当て(さやあて)を尻目にゴールめがける藤岡ガウディ―、といった風に見えて可笑しい。

アドマイヤマーズが強すぎたために2馬身差の2着に終わってしまったが、藤岡佑の瞬時の判断力と柔軟な思考、および4コーナーで不利をこうむりながら、それをものともしなかったガウディーの勝負根性を賞賛したい。藤岡佑騎手は、競馬において骨格にハンディのある日本人騎手が、西洋系の血を持った騎手に伍するために必要なものが何かを示唆してくれている。

がんばったクリノガウディーだが、懸念をひとつ。レースを重ねるたびに気が荒く、神経質になってはいないか。それを競走馬として強くなった証拠と楽観視していると、いつのまにか「気」と「体」が空回りして成果が出なくなっていた、ということがありうる。こまめなリラックスタイムが必要な馬だと思う。

 

1着 アドマイヤマーズ(Mデムーロ

ダイワメジャー×メディシアン×シングスピール×リナミックス

栗東・友道厩舎。馬主は近藤利一。生産牧場はノーザンファーム

出自(生産牧場)◎、調教◎、騎手◎、血統△、経過◎。

血統を△にしたのは、ただの好き嫌いである。私は種牡馬ダイワメジャーが好みではない。なぜなら、近年G1しかしていない私にとって、ダイワメジャーはマイルまでの種牡馬だからだ(産駒が牝ならそこに「安定性のなさ」が加わる。昨秋から今春に4連勝したミスパンテールは特異タイプ)。

しかし、ここはマイルG1、◎でなくても○でいいはず。一度は○にしてみた。だが、気持ち的にやっぱり△。

…にもかかわらず頭をアドマイヤマーズに決めたのは、調教の慎重さ、言い換えれば工夫を感じたからだった。一週前はジョッキー(デムーロ兄)騎乗でCW、当週は助手騎乗で坂路。それぞれの調教タイムは、場所のみならず課題を変えて追わせたことを示していた。つまり友道師は、漫然と、併せた相手にどれだけ先着できたかで調教とする調教師ではないということであり、送り出された以上、デムーロ兄とマーズは与えられた課題に合格したと考えるのが自然で、賭けでもあった。

アレグリアの項にも書いたように、デムーロ兄はやっぱりここでも狙った馬にタイトな競馬を仕掛けた。私は性根がぬるいので、そこだけがちょっと……である。

 

2018年 朝日杯FS

今に始まったことではないけれど、出走馬の枠順、本当に抽選なんだろうか。クラシックやジャパンカップ有馬記念はコンピューター、その他のG1は関係者がガラガラを回して抽選するらしいのだが、念が異常に強い関係者がいるようだ。

 

今年の朝日杯FS、頭数とメンツは中山時代の昔の朝日杯を彷彿させる。フルゲート18頭のところ、今年の出走確定馬は15頭。阪神施行5年間で最少の登録数だ。

また、見間違いでなければ、出走15頭中、社台系の生産馬はたった3頭。これもまた朝日杯が阪神に移行してからの5年間で最も少ない。中山芝2000のホープフルSがG1になって2年目の今年、所有馬にクラシックを期待する馬主がホープフルに注力するのは自然な流れだが、それにしても極端。朝日杯に出走する3頭は3頭ともノーザンFの生産馬で、社台F・白老F・追分Fの生産馬はいない。

ノーザンF生産の3頭にはいずれも外国人騎手が騎乗する。うち2頭はサンデーレーシングのクラブ馬。残りの1頭は個人馬主。

馬券の課題はこの3頭のどれを重視するかだけだ。今年の秋華賞から露骨になったG1の流れに逆らう手はない。となると、個人馬主よりクラブ馬、JRA厩舎調整より外厩調整、ということで、2番グランアレグリア(天栄)と11番ケイデンスコール(しがらき)のどれかになる。

しかし私は、3頭のうちなら6番アドマイヤマーズに期待したい。

大量投票がブチこまれてる確勝?グランアレグリアはさておき、捻挫して、休養放牧という形で「ノーザンしがらき」に行った割に、栗東に戻ってから意欲調整でバリバリ乗り込まれてるケイデンスコールは怖い。技術的に兄よりもヨーロッパでの評判がよく、ヒャッハー体質と抜け目のなさ(勝負勘ともいうw)が両輪で発動しやすいデムーロ弟も不気味。

だが、調整の慎重さと、あのデムーロ兄が昂ぶりを抑えて(おそらく)指示通りに調教に乗ったという点で、友道師にラスボス的な何かを感じる。

アドマイヤマーズはデイリー杯2歳ステークスの前に天栄で休養&調整されたが、その後は栗東トレセンに在厩。JRAトレセン調教師の存在意義を、ここで友道師が示してくれることを期待する。

【感想】 2018 阪神ジュベナイルフィリーズ

このレースには出ていなかったが、

肋骨を4本もやられて年内復帰は無理っぽかった和田騎手が早々に復帰。

肘を開放粉砕骨折した幸騎手はさすがにまだ加療中だが、

騎手の中には、落馬して頭蓋骨割っただけじゃなく

顔も骨折して目の神経管もやられて、

脳挫傷に脳脊髄液漏などなど、普通ならまだ絶対安静中のはずの怪我でも

二週間足らずで退院して馬に乗る人がいる。

騎手という職業人は、どっかおかしい。

ボクサー並みに脳震盪を繰り返しすぎて

痛みや恐怖を感じる神経がマヒしてるのかもしれない。

 

さて、阪神ジュベナイルフィリーズ

阪神ジュベナイルF(長いので以下、阪神JFと略す)の当日は、香港国際競走とかち合うことが多いので乗り替わりが増える。今年の阪神JFは、出走頭数18頭のうち、前走で騎乗した騎手からの乗り替わりは13頭で、お初の騎手に乗られた馬は11頭。川田岩田ルメデム兄のいない空き巣G1。まるでクラシックや秋天の裏開催である。

レースはほぼ人気順の決着だったが、デムーロ弟(Cデム)を信用できないと、どの馬も「帯に短し襷(たすき)に長し」に見えて買いづらいレースだったと思う。

 

1着 ダノンファンタジー(Cデムーロ

先行して勝ってきた馬で後方待機策。ゲート出が悪かったわけじゃない。デム弟はおそらく事前に、このレースを勝つための知恵をつけられていたのだろう。結果としてダノンファンタジーは高水準の自在脚型を印象づけた。

ダノンファンタジーの母ライフフォーセールは、現役時代、アルゼンチンでスプリントから中長距離までを8連勝した。いずれも3歳牝馬限定戦での勝利で、古馬混合戦では人気になりながら惨敗したが、G1を2勝、G2を3勝、G3を1勝の戦績を買われて2013年1月に繁殖として日本に来た。購買者はノーザンファーム。5代内にカロがいてスキーチャンプがいて、ハーツクライディープインパクトとの交配ではリファール4×5のクロスができる。ノーザンにとって申し分ない繁殖である。

ハーツクライとの初仔、キングカメハメハとの第ニ仔は思惑通りには走らなかったが、筆頭種牡馬のディープをつけて産まれたファンタジーは大成功。<デビュー前の評判が良すぎて、1歳下のハーツクライ牡馬はセレクトのセリで2億3千万の値がついた(競り落としたのはアドマイヤの近藤利一氏)>。

これまでのところ、初戦で敗れたグランアレグリア(こちらもノーザン産のディープインパクト牝馬。ただし馬主はサンデーレーシング)とは、どちらにも傷がつかないようにレースの使い分けがなされている。桜花賞で再び2頭があいまみえるかどうかはグランアレグリアの朝日杯の結果次第である(血統的にはグランアレグリアのほうがマイルに適性がありそうだ。朝日杯を勝てば春はNHKマイルに向けて調整することもありうる)。

 

2着 クロノジェネシス(北村友)

前2走とも勝利、且つ上がりの脚1位、特に前走は東京芝1800OP戦で32.5の脚を披露。この馬に「ステッキ(鞭)に頼らない騎手」が乗ってたらどうだったかな、と思わないでもない。

生き物の体は、同じ種であっても、同じようでいてちょっと違う。騎乗スタイルを見ていて、北村友の背中が気になった。肩や肩甲骨付近がコリやすそうだ。頸椎か胸椎のどこかにズレがあるか、クッションが弱いか硬いか……あるいは、肩甲骨ストレッチを熱心にやりすぎて逆に痛めてそのままか。腕を思い切り伸ばして追うことができないからステッキに頼っているように見えた。4コーナーでロスしたしないより、直線の追い負けが残念だった。

クロノジェネシスの血統は好みだ。父はバゴ、母父はクロフネ。なんとなく重め、の血が好きなのだ。記事を書くのに血統を調べていて、5歳上の姉がハピネスダンサーと知った。ハピネスダンサーは父メイショウサムソン。渋く走り続けて昨春引退した。こういう姉がいる妹にはがんばってもらいたい。

 

3着 ビーチサンバ(福永)

やっぱり牝馬の福永なんだなぁ……と、感心してる場合じゃなかった。フサイチエアデール、まだ繁殖やってたのか。ビーチサンバは20歳で産んだ仔だぞ。しかもまだ2頭も下にいるぞ。想像だが、関口房朗の焦げつきをエアデールで回収してるのか。やるな、ノーザン(←妄想なので本気にしないでね)。

 

4着 シェーングランツ武豊

鳴り物入りでフランスから繁殖入りしたスタセリタの3番仔。この馬も、2着のクロノと同じく前2走とも上がりの脚は1番。初戦こそ落としたが、2戦目は好位から長い脚、3戦目は追いこんでゴール前強襲と、もしこの馬にルメールが乗ってたらこれが一番人気になっていたんじゃなかろうか。

姉のソウルスターリングは17年の優駿牝馬を勝って以降、とんと名前を聞かなくなった。夏を越して、その年の秋3戦がさんざんだったのにJRA最優秀3歳牝馬を受賞しちゃったもんで、シラケた人が少なからずいそうだ。ルメール→Cデムーロルメール北村宏司の騎手リレーも国民感情としてはあまりよろしくなかったようだ。

妹のシェーングランツは、父がフランケルからディープインパクトに変わった分、軽さが持ち味になった。しかしこのレースでは、包まれてそれが発揮できなかった。2歳牝馬美浦から滋賀への直前輸送がこたえた可能性もある。

 

5着 プールヴィル(秋山)

出走馬中、調教はこの馬が一番良かった。今回は「外厩→1週前にJRA厩舎→本番」パターンの馬が少なかったから、馬券参加はできずとも各馬の調教を観るのが楽しかった。JRA所属の各調教師(厩舎)がどんな稽古をほどこすか、私にはそれを観るのも競馬の楽しみのひとつなのだ。

Mデム→浜中のあとの秋山起用で、なかなか渋いとこを突いてくるなと思った。プールヴィルは、初戦(中京1600・4着)と二戦目(中京1400・1着)に、前が詰まり横に寄られて進路を探してモタモタする不利があり、三戦目(京都1400・1着)でようやくスムーズに能力を発揮することができた。三戦目は鞍上浜中の好プレーでもあったが、その浜中はウオッカの仔、タニノミッションに騎乗する。リーディングでは浜中が上位だが、秋山は有力馬に乗ることはもちろん、騎乗数自体が少ないので本来の腕の優劣はつけがたい。不安は、秋山が先月のあの事故の加害者気分をどれだけ引きずってるか。引きずりすぎてると消極的な騎乗になるだろう。馬は1400にしか実績がないので、それより1F延びるマイル、それもG1での消極騎乗は初戦や二戦目と同じ(またはそれよりひどい)不利をこうむって2ケタ惨敗もあり得た。

しかし、プールヴィル秋山のレースぶりは悪くなかった。直線では気配を消して、内で追い出しのタイミングを計っていた。

池添がメイショウをプールヴィルの進路に強引に入れた時、秋山はまだゴーサインを出していなかった。メイショウ池添に前に入られなかったら上の着順に来れたか否かは判断が難しい。が、短距離というには微妙な、中途半端な距離で勝ってきた馬にしては、プールヴィルは我慢が利いて距離の融通が利くようだ。不利を受けた時、息や脚がぎりぎりであればそのまま沈んだろうが、プールヴィルはそのあと鞍上の気合いづけに応えてぐんと伸び、メイショウ池添を2馬身置き去りにした。

これでちょっとわかった。プールヴィルは意外にジリっぽい。ステッキを数発もらい、トップスピードに乗れたのはゴール前100m足らず。これは、不利を受けやすいマイナス要因であると同時に、少々距離が伸びても「乗り方ひとつで馬券になる馬」の特徴である。それに、今年の阪神JFで、先行しながら掲示板に残った馬はプールヴィルだけだ。

関係者は、これからどういう育て方をするのだろうか。当面の目標は桜花賞だろうが、その先、距離を伸ばして1800~2000mでもいける馬にするのか、短距離路線に向かわせるのか。いずれにしても、今回の当日馬体重426kg(前走より10kg増)、体重はこれを下限にしてもらいたい。体が小さいと、他馬の騎手の標的になりやすい。馬同士はそんな気が無くても、人間には小ささが弱点に見えて潰しにかかる。

小さいけれど地力がある馬。本賞金の上積みに焦って数使われることがないように願う。 

【感想】 2018 チャンピオンズカップ

このレース、チャンピオンカップではなく、チャンピオン「ズ」カップと言うらしい。

地方・海外のチャンピオンが集結するわけでもないのに、なんで「ズ」なんだよと思うが、父親が同じでも「きょうだい」と言わないのと同じく、競馬の専門用語のひとつなのかもしれない(嘘)。

レースは面白かった。レースを和田・川田・横典のどれかが引っ張るとワクワクする。好きな騎手だからというせいもある。しかしこの三人は、自分の騎乗馬より人気になってる人馬にひと泡ふかせるようなレースをつくる。結果的に人気馬に負けたとしても、観る側の私は納得できる。<ひと昔前はそこに小牧や松岡もいたが、両方ともG1で見かけることが少なくなった。小牧は橋口弘次郎師の引退によって有力馬の騎乗依頼が少なくなったので仕方がないにしても、松岡はある時期から騎手という職業への執着が薄れ、それが今に祟っているように感じられる。>

 

1着 ルヴァンスレーヴ(Mデムーロ

前評判通りに強かった。素質(身体能力&気性)はもちろんだが、それを注意深く開花させた育成・外厩の勝利でもある。アーモンドアイのダート牡馬版と言っていい。

実況の民放アナウンサーはゴールよりも早い段階でルヴァンスレーヴの名前を連呼し、ゴール寸前からゴール後にかけて、しきりに「怪物!」と絶叫していた。ルヴァンスレーヴやアーモンドアイが、医療・食餌管理や育成に先端の科学的知見を導入され、意識・目標に叶うだけのお金と手をかけて送り出された競走馬の中でも特に優秀な馬であることは否定しない。が、「怪物」は言いすぎ。「怪物」と言うなら社台グループの意識と実行力を「怪物」と言うべきだ。

ともあれ、騎乗したMデムーロは、大阪杯以来の中央G1勝利。好きではない騎手だが、ちょっとホッとした(誰だろうが、落ち込んで打ちひしがれた顔は見たくない)。彼は学習能力が高くて、怖い騎手、イヤな騎手をよく研究している。このレースでは横典アンジュをマーク。逃げると踏んでいたのだろう。

ルヴァンスレーヴは、このレースを回避したチュウワウィザード(ノーザンF生産、個人馬主、父キングカメハメハ)と同い年のいとこ同士である。同じ一族&同年齢のいとこでも、外に出された母から生まれたタガノヒルクライム(父ハービンジャー)はダートを試されることなく、1勝馬のまま中央登録を抹消されている。同族の光と影と言ってしまえばそれまでだが、なんともシビアな話である。

 

2着 ウェスタールンド(藤岡佑)

先に結果を知っていたから2着とわかって録画を観られた。しかしリアルタイムで見ていたら、2着をミツバと誤認しそうである。それほど、ウェスタールンドは途中までレースに参加していたようには見えなかった。

スタートから向こう正面の走りを観る限り、ウェスタールンドは非力に見えた。言っちゃ悪いが、新馬でも混じっているのかと思えるほどに。それが3コーナー手前から一変。シタタタタ……と擬音が聞こえてきそうな忍者走りで、まぁコーナリングの巧いこと巧いこと。4コーナーで先団の数頭を除く他馬が大きく外に振られる中、ほぼピタリと内ラチに添った進路をとり、離されたビリッケツから5番手に浮上。

これは鞍上・藤岡佑の巧さでもある。中京のダートコースはコーナーがタイトな上に、1800m戦ではスタートからしばらく上り坂、3コーナーから下り坂、下りが終わるとすぐに急な上り坂と、かなりトリッキーな形状になっている。気がせいて追い出しのタイミングを誤ると外に振られて50m~70mは距離損し、損している間に直線のいいポジションを他馬にとられて右往左往することになる。しかし藤岡佑は、乗り馬の武器とコースを熟知して臨んだ。しかも彼は慌てなかった。ゴールまであと250mの地点で、ウェスタールンドと藤岡佑は前が開かなければ5着、よくて4着の位置にいた(慌てなさすぎだろ!)。斜め前にいたルヴァンスレーヴの能力が高い(ゆえに抜け出しが早い)ために恵まれた結果オーライだったが、慌てなかったからこそルヴァンスレーヴの抜け出しにすぐ反応できたとも言える。

たらればだけれど、逃げた1番アンジュデジールが早々に脱落していれば、勝ったのはウェスタールンドになっていたかもしれない。

全姉のミクロコスモスは、鋭い差し脚を武器にしながら、頭に血が上りやすくて重賞未勝利で終わったが、ウェスタールンドは去勢されて「我」がほどほどに収まった。他陣営の警戒さえ薄れれば、そのうち母ユーアンミーに初の産駒重賞勝利をプレゼントできるのではないだろうか。

 

3着 サンライズソア(モレイラ)

サンライズノヴァとソア、両方買った人が多そうだ。ノヴァとソアは成長曲線とコース適性、脚質が異なるだけで力差はそんなにない。一方が3着なのに一方が着外になったのは、展開の向き不向きと、ノヴァの差し脚が仰天レベルではなかっただけの話だ。

スタート直後のモレイラの動きには少々ひっかかりを感じないでもなかった。彼は「様子見した」ように見えた。穿った見方をすれば好意的な見方と悪意ある見方の両方ができる。しかし事実はモレイラ本人にしかわからないことなので、ここでは不明としておく。

ただ、この馬は4コーナーで大きく外に振られたにもかかわらず、前との位置関係を崩さなかった。それは多分にモレイラの腕によるところが大きい。日本にわざわざ短期免許をとりにくる外国人騎手は、さすが損失に対するリカバリーが素早い。

 

4着 アンジュデジー横山典

チャンピオンCまでの17戦で、牡牝混合戦に出走したのは2戦のみ。2歳暮れの500万下特別こうやまき賞と今夏の札幌エルムSである。それ以外は牝限街道まっしぐらだった馬の参戦を決めたのは、よほど調子が良かったからか。

相手は歴戦の古牡馬とスター候補や売り出し中の3歳馬。そして枠順は願ってもない1枠1番。ならば逃げるのが最善手。

逃げるだろうという予測はできても、急坂をしのぎきり牡馬の一線級相手に0.6差のあわや馬券内に健闘すると予知?できた人はどれほどいたか。私は無理だった。横典マジックでギリ掲示板ならあるかもしれないとは思ったが。

横山典氏はやっぱり巧い。ペースを機械的に判断すればスローの2ハロンよーいドン。しかしこれはダートという名のサンドレースである。ハロンラップで12.5以上に落ちたのは最初の1ハロンと3ハロン目だけ。ダート馬場良の流れとしてはかなり厳しい。横典は騎乗馬ができないことはしないから、「できる、やれる」確信があったのだろう(それはレース後コメント「これくらい走っても驚くことはない」にも表れている)。おそるべしヨコテン、おそるべし昆貢

 

5着 オメガパフューム(Cデムーロ

社台生産馬にしては使われて、年明けデビューから8戦め。ヒラボクよりはマシ(ラターシュは年明けデビューで10戦め)だけど、それでよく掲示板に踏みとどまった。人馬は頑張ったが、疲れには勝てない。来年が心配である。

 

 

眠いので 感想は5着馬まで……。

 

ジャパンCダートあらためチャンピオンC

私は毎年、ダートG1を阪神に返せ!と腹の中で叫んでいる。

「右回りだから強いアメリカ馬が来ない」ってな声があったが、

これまで中京で開催された4回分を見る限り、そんなのは関係ない。

新装なった中京競馬場に目玉をつくりたくて

わざわざ名前変えて中京開催にしただけだろう。

本気で強いアメリカンダート馬に来てほしいなら、お薬OKにして検疫を短くし、賞金をチャンピオンCそのままで大井か川崎で開催すればいいだけの話だ。

 

勝てそうにないから?回避したのが2頭いて、ルヴァンスレーヴの戴冠は盤石のように思える。出自(生産牧場)◎、調教◎、騎手◎、血統◎、経過◎だかんね。

昔人間だからサンライズ冠が好きなんだが、オッズ観る限り「穴」とまではいかなそうだ。

展開を鑑み、うしろから差し込んでくることを期待して、12番ウェスタールンドを穴指定する。

マイルCSのようなことがあるから、リアルタイムでパドック見てレース見て、ができないのはちょっと辛い。

でも止められないのね、競馬。依存症かしら?