【感想】 2019年 ホープフルS

11番オーソリティは5着だった。なんとか掲示板を確保した、程度。

残念だけれど、まーしゃあない。レース映像を観るとスタートから7秒~10秒のあいだに、岩田騎乗の13番ラインベックに強引に前に入られて、下がらざるをえなくなってた。ラインベックは直後に7番ワーケアの進路も潰している。大外から一直線にポジション取りを敢行、他馬の動きなど見ない考えない。久しぶりにG1で、岩田の本領を目の当たりにした。

評判馬の中にワーケアという馬がいて、これが3着。前記事を書いてる時にはすっかり頭から消えてた馬だ。見逃したわけではない。馬柱にいっぱい印がついてる馬を「ざっと見た」のだから、見ていないはずはない。どうもワーケアという名前を意識にあげたくなくて記憶から飛ばしたようだ。名前の第一印象で、ワープアを連想してしまったのである。

 

勝った2番コントレイルはノースヒル生産馬。育成・放牧は大山ヒルズ。教育というからには、福永は馬ごみの中で競馬をさせるのかと思ったが、力量差の大きい13頭だったから馬混みというほど混みあってはいなかった。馬券はノーザン生産・ノーザン外厩組を中心にしても、気持ち的にはノーザン外を応援したい。だからこの結果には少しホッとした。デビュー前、コントレイルは球節が悪くて半年ほど乗れない時期があったらしい。「体が整うまで、乗れなくても待つ」見通しの余裕と資金力はマーケットブリーダーのノーザン・社台系列が一番だろうが、オーナーブリーダーのノースヒルもそれをやっている。経済的に難しかろうが、中小・零細牧場産の馬を買った馬主やそれを預かった調教師も右に倣えしてくれればいいのだが。

勝ち馬以外の「掲示板に入った馬」の中では、2着のヴェルトライゼンデと5着のオーソリティに将来性を感じた。ヴェルトライゼンデはしまいの脚を長く使えていた。オーソリティにはずっと外を回らされる距離損があった。どちらも早熟型ではない。春のクラシックに乗せるために焦って使いべりさせてほしくないと思える2頭だ。

3着ワーケアは一番厳しいレースを強いられた。鞍上のルメールはポジション取りを邪魔されて最後の末脚に賭けたわけだが、それが腱を強化することになるか疲労で立て直しに苦労することになるか、今の段階では何とも言えない。

4着ラインベックは、岩田のレース後コメントを読む限り「伸びずバテず」だったようだ。2000mはちょっと長いのかもしれない(逆にスローペースの2400m以上距離に適性がある場合も)。

6着以下の馬たちには、できれば十分に間隔をあけた上で、自己条件から進めてもらいたい。マイルや短距離に適性がありそうなのにここに出てきた馬もいれば、成長途上というにはまだ早すぎたような馬もいた。

個別には、たとえばパンサラッサは3月ごろまで体を増やすことに専念(デブにするのではなく)したほうがいいだろうし、ディアセオリーはディア冠名の他馬の例にもれず、大切なこの時期を手当稼ぎに消費してしまっている。

ゴールドシップ産駒のブラックホールは、気性に臆病なところ、または不器用なところがあるのか、案外な結果(9着)に終わってしまった。重賞を勝ってる以上、条件戦には出られない。厳寒期を利用して、馬体重を420kgから落とすことなく、成長を促しながらじっくり鍛錬できたら理想的だ。

最後に、最後方で追走一杯だったクリノブレーヴ。この馬こそちょっと真剣に、自己条件から始めたほうがいい。父オーシャンブルーの青森産馬が4歳夏に開花(OP入り)なんて夢を実現させることができたら、調教師の力量、厩舎力の評価が3段階はアップするし、遅咲き馬を扱うノウハウも手に入る。調教師の決断次第だ。