【感想】 2019年 大阪杯

無理。無理無理無理無理無理。

騎手が信用できなくて切った馬が1着。

本線と保険で頭にした馬が2着3着。ワイドや複勝は買ってない。

北村友一よ、おのれはワシをますます貧乏にするためにおるんか(-_-;)

 

3月31日のWIN5配当は26万9810円であった。安い

ひとつめの阪神9R明石特別で7分の1超フルイにかけられたのはわかるが、大阪杯は9番人気が1着である。ワシとは反対に、荒れると予想した勝ち組が多かったってことか。

 

1着 アルアイン(5歳)

前週に制裁を受けた騎手で、来週のG1にも乗鞍のある騎手は、思い切った騎乗がしにくいものだ。しかし、14頭という少頭数で、ゴール前に2度目の上り坂がある阪神内回り、4コーナーを回って馬群がばらけ、前を行くのが戸崎エポカドーロだったのが良かったのだろう。内ラチから2頭分くらい開けて逃げる戸崎の内を抜け、キセキとワグネリアンの追撃を封じ、鞍上の北村友一は中央G1を初勝利。

北村友のスタート直後は相変わらず落馬しそうな格好だった。が、体勢を整えてからはそつなく無難に立ち回っていた。意外だったのは、最後の直線でステッキを一切使わなかったこと。昨年のJF、北村友はクロノジェネシスに容赦なくステッキをふるっていた。追い比べで勝利したダノンファンタジーの騎手に比べて、北村クロノは「扶助をステッキに頼ったぶんの追い負け」に見えた。

大阪杯のレース終了後のコメントで、北村友は「(馬の)気を害さないようにしながらゴールまで追いました」と語っているが、何がきっかけの心境の変化だったのか。馬も生きて意思がある。これでどのレースでも雑さが抜ければ、もともとセンスを評価されていた北村友一、勝ち数に実質が伴ってくるはずだ。

北村友は向こうっ気の強さが顔に出ている。録画を観るまでは、川田に対する意趣返しの意図があったに違いないと思っていた。川田は前週の高松宮記念で北村友の斜行によって不利をこうむっていて、川田の性格的に、当日は不愉快さを態度で直截にあらわしただろうから。が、観たあとは、「それも少しはあっただろうが、レースそのもの、馬を追って1着でゴールさせることには無心だった」と見方をあらためざるをえなかった。

 

2着 キセキ(5歳)

戸崎エポカの逃げにつきあってしまったぶんの2着か、それとも逃げても控えても2着3着が性分なのか。キセキに菊花賞以来のG1、関係者だけじゃなくファンもほしいぞ。

 

3着 ワグネリアン(4歳)

検討時、ワグネリアン単勝7.3倍の3番人気。神戸新聞杯以来の出走で音沙汰が無かったからせいぜい6、7番人気と思っていたので驚いた。これも「天栄・しがらき帰りは長休明けでも走る」が定着した証か。

私がこれを○扱いにしたのは、「外厩を使っても厩舎できちんと仕上げる友道を基本的に信頼している」「主戦・福永は個々の馬を見る目が細やかで、ワグネリアンについても厩舎と緊密に連携しながら育てる姿勢でいる」「中京2000の7月新馬でドスローとはいえ上がり32.6を出して勝利した馬がこのまま終わるはずはない」「さらに母系祖母がブロードアピール。よって早枯れなどほぼありえない」からである。

本調子はまだ先のことになろうが、じりじりとでも良くなってくれれば幸いである(そういや、新馬戦でワグの着差なし2着だったヘンリーバローズはどうなった??)。

 

4着 マカヒキ(6歳)

かつての岩田を知っているから、岩田マカヒキの1枠1番がおそろしかった。結果4着で胸をなでおろすも、1着馬を買ってないんだから結果は一緒だったが。

「ディープ×フレンチ」の相性の良さを知らしめたのはこのマカヒキだったように思う。相性の良さ(特に合う組み合わせはニックスと言うらしい)では他に「ディープ×ストームキャット」も有名だが、どちらが先でどちらがより好相性かは記憶があやふやだ。個人的に偶然と必然(?)のふたつの要因でフレンチが好きなので、この先、岩田とのコンビで「マカヒキはまだ終わっていなかった」を証明してもらえたら嬉しい。

 

5着 エアウィンザー(5歳)

5番人気内だったが、この馬は買わなかった。ここ2、3年でめっきりやつれた(老けた?)鞍上・浜中の顔がちらついて、とてもじゃないけど私には買えない。それでも浜中は人気どおりには持ってきた。世の中には、叩かれやすい人と叩かれにくい人がいる。叩く側は切り上げどきを考えないと、大胆になれる時期に伸びるはずの若手や中堅を潰すことになる。

 

6着 ブラストワンピース(4歳)

3コーナーのあの位置、直線での大外ポジション。阪神内回りでそこから馬券になる馬はディープインパクトオルフェーヴルくらいのもんである。単勝が2倍台に下がらなかったのは、斤量増や鞍上の“吹き”を怪しんだ人が多かったからだろう。

 

7着 スティッフェリオ(5歳)

名前が覚えにくい。

 

8着 ムイトオブリガード(5歳)

これも名前が覚えにくい。短縮させて「ムイトブ」ならインドネシア語風の造語になって、馴染めば風情が出たと思う。角が立たず、それなりに意味が通るムイトボンならさらにハッピー。

 

9着 ダンビュライト(5歳)

大外枠が全て。今から休ませて夏と冬に照準を合わせてはどうか。

 

10着 エポカドーロ(4歳)

戸崎の人の好さは十分に伝わった。

 

11着 ペルシアンナイト(5歳)

イタリアの夏は暑い。

 

12着 サングレーザー(5歳)

起用ミスが全て。

 

13着 ステイフーリッシュ(4歳)

矢作なのでいつかどこかで巻き返す、だろう。

 

14着 ステルヴィオ(4歳)

この馬が穴人気(6番人気)していたのは、ワグネリアンやブラストワンピース同様、天栄帰りだったからだろうか。マイラーには “外枠+前目のポジション取り+2度の坂越え” はキツかった。騎手も阪神コースに慣れておらず、目立った実績がなかった。

春天に出るわけじゃなし、陣営がここを使った理由がわからない。

2019年 大阪杯

アーモンドアイがドバイターフで勝利したらしい。

賞金は日本円にして3億9600万円。ノーザンは名誉より実利を獲るし、実利が伴う名誉ならさらに欲しがるし、この15年くらいの間に知り合った何人かのシルク会員は投資・投機での回収が大好きで競馬も投資・投機ゲームのひとつにすぎない人らだったし、金無しヒマ無しとしては遠い目で「良かったねぇ」しか言うことがない。

で、たぶん、アーモンドアイの生産牧場&馬主&外厩つながりで、現在3.5倍台の7番ブラストワンピース単勝オッズは、馬体重発表とパドックののちにグワンと上がり、投票締め切り直前にまた上がって2倍台に突入することだろう。

ブラストワンピースはいい馬である。競走能力はもちろん高いんだろうが、特筆したいのは「素直さ」である。ブラストワンピースの位置取りは、毎レース変わる。逃げや極端な後ろポツンの追い込みがないだけだ。これはおそらく鞍上池添の智略によるもので、コースと距離、相手関係で融通無碍に位置取りを決めていると思われる。その指示に従い応える素直さが、ブラストワンピースの最大の長所ではないかと思う。

ブラストの見解はここまでにして。

私の狙い穴馬だが、当初は8番サングレーザーにしようと思っていた古馬になり、久しぶりに距離を2000に伸ばした昨夏からの内容がいい(香港4着はしゃあない)。約3ヶ月の休養明け成績が(2.1.0.0)、母父デピュティミニスターも追い風だ。が、鞍上ミナリクと知って躊躇した。ミナリクは今日が初めての阪神ではなかったか。マーフィーなら同じ初でも一か八かで買える。しかしミナリク。ドイツ人だからイタリア人より寒風には強いだろうが、浅見師、外国人なら誰でもいいのか。

結論。このレースは、たぶん荒れない。3着まで単勝5番人気以内で決まる。もし6番人気以下で突っ込む馬がいるとしたら3番アルアインくらいだが、これも鞍上が問題。高松宮記念三連単配当をWIN5より高額にした立役者、北村友一である。危なっかしくて買いづらい。馬はいい、ヒトをなんとかしてくれ。

今日のG1は、自分の好きな馬を頭や軸にして買う、楽しみのためのレースになるだろう。私は6番キセキ頭を本線、2番福永ワグネリアン頭を保険とする。

 

 

 

【反省】 高松宮記念

 競馬は怖い… 

2着3着に思ってもみなかった馬の名前を見つけた時、

何が起きたのかわからんかった…

有力馬、人気馬が故障発症、落馬か??? そう思った…

体の芯から魂が抜け ふわふわと定まらない脳みそ

現実を受け容れられない状態、

仕事以外で久しぶりに味わったぞ!

 

前記事でミスターメロディ以外に挙げた2頭が2頭とも不利をこうむったようだ。

不利が無かったら馬券内に来ていた、かどうかはわからない。

ただ、なんか疲れた。

反省は、

「検討にあまり入れこまないこと」

「一瞬が致命的になるスプリント戦では買わないことも選択肢に入れる」やね。

 

寝る。

2019 高松宮記念 (追記あり)

3番ミスターメロディと6番アレスバローズに注目している。

なぜなら、人気のダノンとルメールロジは外枠で、両サイドを牝馬3頭ずつに挟まれている。ホルモン分泌が盛んになるこの時季、ゲート内に漂う牝馬の芳香?にオス馬として惑わされることがないとは言えない。うっかり8歳♂ヒルディバローが反応しちゃうと6歳4歳がつられて気がそぞろになることはありえる。

牝馬群から離れた内目の枠にいるミスターメロディとアレスバローズは、ともに昨年、中京コースの芝短距離で勝利していて、小倉芝1200でも勝っているように小器用な脚がある。ミスターメロディは3月のファルコンSでアサクサゲンキを下したのが大きいし(アサクサゲンキはいい馬だが、あの敗戦で気持ちが挫けたのか、それ以来パッとしないのが残念である)、CBC賞のアレスバローズは、スプリントの一線級が出ていなかったとはいえ強い競馬をしていて、上位の持ち時計もある。

マイナス点が少なくて人気になっているミスターメロディはいいとして、アレスバローズはデータ的には弾かれる馬だ。そのために下位人気に甘んじている。しかし鞍上は川田。連下どころか連絡みもあるというのが私の見解である。

 

2019.3.24 11:15 追記

ミスターメロディは追い切りを芝で行っている。これは3月ファルコンS(1着)や11月オーロカップ(5着)の追い切りと同じだが、私はポリトラックや芝での追い切りが感覚的に好きではない。ファルコンで結果が出ているのだから杞憂ならいいのだが。

牝馬ではナックビーナスが怖い。レッツゴードンキ陣営の悲願を想うとドンキの3年連続馬券内を願いたくなるが、ナックビーナスはドンキより1歳若いうえ、2走前に58kgの酷量を背負ってモズスーパーフレアの1馬身差(2着)に詰め寄っている。前走で同斤量になり、そこでもまた負けているため評価を落としているけれど、人馬がモズに引け目(負け意識)を感じることなく自分のレースに徹しさえすれば逆転の目もある。

 

インティ 2 (武田茂男氏のこと)

東海ステークスから5日過ぎた今日、やっとレース映像を観た。

インティは強かった。脚が心配になるくらい、芝並みの速さで砂を駆けていた。同時に、チュウワウィザードの強さもわかった。同時代にインティやルヴァンスレーヴがいることがチュウワウィザードの不幸だと思った。

ま、それはともかく。

今回、『インティ 2』と題した記事をアップしたのには理由がある東海ステークスで圧倒的な強さを見せつけたインティに関するニュースやコラムを検索していて、私が昨年11月に書いた記事『インティ』に大きな思い違いがあることが判明したからだ。 

 

tumaranaimonodesuga.hatenablog.com

 

上記記事中で、私は馬主の武田茂男氏を「どうやら一般の競馬好きでいらっしゃる可能性が高い」と書いたが、それは大きな間違いだった

武田茂男氏一風変わった奇特な馬主さではなく長距離好きメジロ好きのレジェンド今は無きメジロ牧場のかつての場長さんその人であった

あの記事を書く前に、一応ネットで調べてみた。でもそのときは見つからなかった。

とはいえ、

何が「フォレストキティとその子を大事に所有することで自らたぐりよせた奇跡的な良縁」だ! 失礼にも程がある!!

今なら「インティ 馬主 武田茂男」で検索すると、かつてメジロ牧場の場長でいらしたこと、メジロ牧場を退職されてからは浦河で「武田ステーブル」という育成牧場を開設運営し、同時に複数頭の競走馬を所有する馬主でもある等の紹介記事が出てくる。

インティの誕生は、たまたまでもなんでもない。配合を考えたのも、育成計画を立てて主導したのも武田茂男氏だろう。

 

武田茂男さん、不明の非礼、お許しください <(_ _)>

 

2018年度JRA賞が発表されたが

JRA賞って、受賞したらなんかもらえるんだろか。

賞状や盾やトロフィーの類だけだったら

警察消防からの感謝状や学校のなんとかコンクールの表彰と変わらない気がする。

でも記録として残るから、トレードの書類審査には有効か。

高額トレードをハイレベルお受験と考えれば、

馬売りには「あって損はない」称号なんだろう。

 

SNSでは最優秀3歳牡馬の得票数が話題になっていた。

得票数1位で選ばれたのは、有馬記念を勝ったブラストワンピースだが、

ブラストワンピースのファンや1口持ちらしき人々の歓喜に混じり、

「クラシックを勝てずにGⅠを有馬ひとつしか勝っていない馬が3歳の代表でいいのか、ダービー(優駿競走)の意義はどこにあるのか」という、日本競馬の成り立ちに迫る問いかけや、

ダート馬のルヴァンスレーヴが69票も得票して、ブラストワンピースの114票にあと45票、得票数二位だったダービー馬ワグネリアンにあと19票に迫ったことに対する賛否があった。

個人的には、ブラストワンピースに票が入りすぎたと思う。ワグネリアンはダービー後が神戸新聞杯の1戦だけなので相対的に「やむなし」という感じ。逆にクラシック皆勤の皐月賞エポカドーロにはもうちょっと票が入っててもよかった。ルヴァンスレーヴの得票数69には、実際強いと思ってるので違和感がなかった。ルヴァンスレーヴは安定して強かった。

ところが、やっぱりいるんだ。いや、おられるんだ。「ダートは格下! 芝でやれない馬がダートに行く。ダートは落ちこぼれの受け皿!」と強力に主張される方々が。

中でも、「ルヴァンスレーヴが最優秀3歳牡馬でもよかったのに」という声に対して「JRA賞なんだからダート馬が受賞出来ないのは当然」という反論?があったのには驚いた。反論者は未成年か学生なんだろうか。あまりにきっぱりと言い切ってるもんで、私の認識が間違ってたのかと不安になった。じゃあ、JRA所属のダート馬はJRAのなんなんだよ。JRA賞に『最優秀ダートホース』部門があるように見えるのはただの幻なのか。

日本の競馬が芝偏重なのは知っている。

言われてみれば、JRAの造園管理課かなんかの人が、昔、「ダート競走は芝の保護育成のために必要」と競馬雑誌の記事に書いてたことをうっすらと思い出すこともできる。

んじゃダート馬って、芝馬のために走ってるようなもんなんだろうか

JRA主催の芝G1は22レースある。対して、ダートG1は2つしかないフェブラリーステークスチャンピオンズカップである。

ダートで走る馬は、芝オンリーを走る馬に比べて加齢による衰えが少ないと言われる。そのぶん、ただでさえ少ないチャンスのダートG1に歴戦の古馬が数多く集まり、3歳ダート馬にとってのハードルは、「チャンスが多いぶん陣営の思惑次第でいくらでも回避できる芝G1」より高くなる。その敷居が高い中で勝った3歳ルヴァンスレーヴは、今年の3歳牡馬の中で出色に強いと言っても言い過ぎではないはずだ。

なのになぜ、2018年度当年くらいは変えてもいい「ダート馬は芝馬より格下」論を変えない人が多いのか。

日本の競馬は、芝競馬のみを権威認定競馬にしていたイギリスを手本にして始まった。なので、長らく生産者にも馬主にも「芝コースで一番早く走れて強い馬が一等賞」と考えられてきたことは理解できる。それはバクチとして馬券を買うこちら側も、日本競馬会、日本中央競馬会も同じだ。

しかし、2018年度のノーザン生産&一口クラブの3歳駿馬たちのように、グレードが高くて賞金が高いレース以外には見向きもしないでスペシャルな外厩で鍛え育てる芝馬が増え、強い「はずの」馬同士が対決するような芝GⅠ戦が少なくなってきたのが現状である。そろそろ、「昔からこういうものと決まっているからコレデイイノダ」的なものの見方を脱して、ダート馬にも芝馬と同等の正当な評価を与えてはどうかと思う。

【感想】 2018 ホープフルステークス

内田、何しとん?

福永、何やっとん?

びっくりした。スタート直後、3番キングリスティアが離れた最後方を追走。何が起きた!

直線は直線で、2番ブレイキングドーンがMデムーロの乗るサートゥルナ―リアに「どうぞどうぞ」と進路を譲っているように見えて。

前記事に「内枠の騎手3人とも、なんか自分的にはめっちゃ不安あるし」と書いたが、ほんとにそうなってしまった。なんとかしろよ、頭使えよ、日本人騎手

ネット上には、外した人の悲嘆と怒り、当てた人の外した人への嘲笑?が散らばっていた。その隙間に、ヒルダカールの松田とサートゥルナ―リアのMデムーロに過怠金が課されたとの情報があった。

トロールビデオは馬友に見せてもらった。Mデムーロ、昨日は東京大賞典でも勝って、日本を離れるまでほんま好きなようにやりおったな。

 

福永は「どうぞどうぞ」したわけではなかった。Mデムーロが体当たりでこじあける瞬間、族ネタ芸人<いつもここから>の「どけどけーぃっ!」が聞こえた気がした。イタリア人だから実際には ” Rompere i Coglioni !(ロンペレ イ コリォーニ)” だろうけど。

デムーロとサートゥルナ―リアのファンには申し訳ないが、私はこれを勝ちとは認めない。12kgも太って、抜け出すときのあの脚だ、サートゥルナ―リアは確かに強い。しかし、「相手騎手さえ落とさなければいい、馬主的に強いところを怒らせなければいい、今年はこれで最後だからやったれい」的な騎手が、自分がとったポジションの旗色の悪さを物理でカバーするやりかたが気にくわない。もちろん、それを通用させ続けてきた胴元と、胴元と慣れあう集団の責任はかなり大きい。Mデムーロが制裁点の多さの割に騎乗停止裁定が少ないのは、裁定委員の目が勝利という結果に目くらましされてるのではないかと勘繰りたくなるほどだ。相手馬の脚が明らかに無い場合だけでなく、追い出しのタイミングを測っていたり、エンジンのかかりが遅い馬(これがMデムーロにはモタモタに見える可能性はある)にも近接斜行等で進路妨害をするのだから、非常にタチが悪い。

 

2着アドマイヤジャスタの騎手ルメールはMデムーロとは対照的だ。ポジション取りや追い出しタイミングのミスがないわけではないが、そのミスを他馬に不利をこうむらせて「無かったこと」にすることがとても少ない。

2018年度の騎手制裁点では、Mデムーロ 71点に対し、ルメール 36点。

制裁率では、Mデムーロ 3.28%に対し、ルメール 1.81%。

          (上記数字は二次資料 2018年 より)

JRA競走騎乗数は、Mデムーロ 640鞍、ルメール 772鞍だから、ルメールのクリーンさは際立っている。

日本人にとっての競馬は品格が問われるようなものじゃなく、所詮バクチでしかない。それでもJRA(胴元)が公正を謳いたいなら、ルールをもっと明確化し、対象者の身元引受人が誰だろうと、対象馬の馬主が誰だろうと一律に制裁を厳しくしてはどうか。「勝ったと思ったら降着になりよって大損こく」のもバクチなら当たり前で、バクチやる人間はそれくらい覚悟の上だし、職業的に投機としてやってる人間だって、生き物投機の性質である不確実性に振り回されるのは先刻ご承知なはずだ。裁定が ‘どういうわけか曖昧’ だから、バクチや投機として競馬をやる側の覚悟が中途半端になる。

 

ニシノデイジー3着は仕方がない。あのスローペースを団子状態で運ばれては、外に出せるタイミングがなかった。「1枠1番はわかっていたことだし、馬を引っ張り通しにするよりは道中の位置を下げてでも外に回せばよかったのでは?」は、経験より1ハロン距離が延びて、最後に坂が控えている中山では冒険すぎる。勝浦騎手はリーディングで15位以内に入ったことがない。前が開くのを待つしか手段が他になかったに違いない。

もし、ニシノデイジーに巧い騎手が乗っていたら、スタートがよかったニシノデイジーを、デムーロが先頭になる前の2番ブレイキングの進路に(ふさぐことなく)つけ、徐々にデムーロの後ろに回っていただろう。そうして3コーナーの手前で8番アドマイヤジャスタの後ろに出す。……外野の素人が想像でつくった ‘たられば’ だが、不可能ではない。

どこでどうすればよかったか、勝浦騎手にはレースVを腐るほど見直して、進路取りに進展をみせてもらいたい。引き出しを多くしておいて、中山の本番では逃げたっていいのだ。

 

4着コスモカレンドゥラの戸崎騎手は、Mデムーロの策略にハマってしまった。一旦はMデムwithサートゥルナーリアが先頭に立ったのだから、そのまま先頭で標的にしちまえばよかったのだ。なんでデムーロに促されて先頭に立つんだ。素直か!

「押し出されの逃げ」の形になったデムーロが、ペースをどう運んだかはわからない。わからないが、どのみち勝利はサートゥルナ―リアのものだったとしても、逃げで勝てた気分の良さは2歳馬には麻薬のようなものだ。ことに、この馬サートゥルナ―リアは遺伝的にプライドが高く、興奮しやすい気性である。ちょっと扱いにくい馬にしてあげてもよかったのではないか。

 

5着ブレイキングドーンは受けた不利が全て。戦後の日本競馬の中で、意図的にこすられて跳ね飛ばされた馬がそのあと盛り返して加害馬より先着した例を、私は寡聞にして知らない。ただMデム氏は自分より格上と感じる相手にはほとんど荒い真似をしないから、福永氏、Mデム氏に舐められているか嫌われているのだろう。

 

6着ヴァンドギャルドも、Mデムwithサートゥルナーリアに不利を受けた1頭である。

それだけでなく、直前、松田騎乗のヒルダカールに押されて内に追いこめられる不利を受けている。それによってヴァンドギャルドの内にいたMデム(以下ミルコと表記)が連鎖的にさらに内に押し込められ、万事休したMデムwithサートゥルナーリアは、福永ブレイキングをドーンし、Cデムーロ(以下クリスチャンと表記)が騎乗するヴァンドの進路に強引に入る手を選んだ。

クリスチャンがミルコの弟なのは、競馬をやってる人間なら誰もが知っている。だが、ミルコは弟をも不利の巻き添えにした。公平っちゃ公平。「俺が俺が」の軸はブレてない。

同じヒャッハー体質、調子乗りでも、クリスチャンは普通の調子乗りかもしれない。本年の日本での騎乗数142に対し、制裁はゼロ。アヴドゥラは騎乗数112に対し、制裁6である。

記憶では、今年モレイラ(だっけ?)に悪質なタックルを受けた時、クリスチャンは日本人騎手なら落ちていたところを、すぐに体勢を整えて持ち直していた。彼の騎乗技術やフィジカルは低くない。むしろ高いほうだ。ただ多頭数の競馬競走になるとまごまごする場面が増える。「日本の競馬の流れに慣れればどうにかなるかならないか」は何とも言えない。

きょうだいが多いからわかるが、兄(姉)は弟(妹)を支えることもあるけれど、騙したり、必要なことを教えないことがある。カインとアベルの昔から、きょうだいは庇護者の関心を取り合う敵なのだ。クリスチャンに必要なのは、兄依存から少し離れて、ムーアやルメールが勝利したレースVを自分だけで山ほど観て、ポジション取りやコース取りの参考にすることだろう。

「クリスチャンはイタリアに帰れ、代わりにモレイラ戻って来い」との声があるが、私の感情感覚はその逆だ。モレイラとミルコのブロック&アタック合戦を見てみたい気はするが、舞台は日本じゃなくていい。

 

7着には松田騎乗のヒルダカールが入線した。今年のホープフルSの一連の加害被害劇はこの松田の騎乗に端を発しているが、こういうこともあるのが競馬。死んだり怪我したりした人馬がいなかったのは良かった。

そも、年間300鞍以上乗って制裁数ゼロは、今年で言えば、障害騎手の嘉藤年間勝利数13回の高倉稜2人しかいないほど達成するのが難しい。故意、悪質、常習を許すのはどうかと思うが、馬券購入者は自ら、こうした小さな加害被害を「起こるもの」として受け容れなければならない土俵に好んで立っているのである。

ヒルダカールは平坦京都の未勝利を勝ったばかりの日高産の2歳馬である。加害馬にはなったが、直線の走りを見て、「案外やるな」と感じた。血統は、ヴィクワールピサ(ネオユニ×マキャベリアン)×メジロマックイーン×カツラギエース×ダンシングキャップ。母系をさかのぼると、小岩井農場の基礎輸入牝馬アストニシメントにたどりつく。古い母系だが、上手に育ててもらえたら古馬になって面白いと思う。

 

検討していて、能力的に期待を持った一番手のキングリスティア8着。これの不安は、「前走新馬勝ちのキャリア1戦馬」ということではなく、川田から手替わりの内田という点だった。ゲートで立ち上がった時にスタートが切られて、それは内田の責任とは言い切れないのだけども、向こう正面での馬群に追いつくためのガシガシ追いと直線でのガシガシ追い。中1週で参戦の若駒に二度のガシガシ追いが今後どう影響するか。

キングリスティアの後3Fの脚はサートゥルナ―リアと並ぶ1位、35.3だったわけだが、出遅れ追走のここでその脚を見せる必要はなかったし、疲労度も心配だ。先につなげるためには、流すことが必要な場合だってある。内田は生え抜きじゃないから、そういう選択は最初から頭になかったのかもしれない。

 

 

追記 

前記事で、NF系外厩として山元トレセンも入れてしまいましたが、間違いでした。山元トレセンは社台系です。慎んでおわび申し上げます。