マイルチャンピオンシップ

競馬歴は長いのに、このレース、当てたことがない。

順当に力上位で固めたらクソ荒れしたり

荒れるだろうと思って手広く行ったら軸がこけて軸以外の人気馬で収まったり

ろくなことがない。

んで、何年も、エリザベスが終わったら有馬まで競馬を休むのをルーチンとしてきた。

それが今年は手を出そうとしている。

たぶんブログを始めてしまったからだろうな。

 

昨日は検討していて脳味噌が疲れきった。

 

もう関東馬関西馬って時代ではない、

輸送やローテがどうこうも意味がなくなってきた、

休養が実際上の意味での休養ではなく、

どの馬がどの外厩を使ってきたかが大事で

さらにルメデム以外の外国人がどれだけ京都のマイルコースを熟知してるか

そんなことをぐちゃぐちゃ考えながら検討していたら

さらに頭がぐちゃぐちゃになってしまった
 「あー、この馬がんばってるなー、こいつヒモに入れてやりたいなー、がんばれよー」が、競馬の楽しみのひとつでもあったのだが、戦略的に馬券を獲るスタンスに立つと、競馬を投機と割り切ってないと苦しくなるだけなのだ。

 

ところが、疲れきって寝て、今朝起きたら、

「なんや、このレース結局三強や」と、なぜか憑き物が落ちたようにアタマ晴れ晴れ。

アルアインとアエロリット、そこにモズアスコット。あとはステルヴィオが食い込むかどうか。

憑き物が落ちたのか憑いたのかは6時間15分過ぎにわかる(笑)。

 

【感想】 2018 エリザベス女王杯

直線に向くまでは菊花の再現に見えたが、

持ち馬クロコスミアの気性と地力を熟知する岩田の頭脳プレーだった。

岩田とクロコスミアはこの日のために死んだふりをしていたようだ。

モレイラの急追にクビ差2着に敗れはしたが、逃げはこうじゃないといかん。

自馬が勝つための逃げじゃないと面白くない。

横典のトリッキーな逃げを形だけ真似して、

横典の後継者になれる、なったつもりの誰かには、

観衆の心をつかむ逃げの本質はきっとわからん。

 

勝ったのはリスグラシュー。ノーザン産でキャロットクラブの馬だが、矢作調教師は大手生産牧場の外厩スタッフよりも自分の目とやり方を信じる人だ。外厩頼りじゃない厩舎のG1勝利は、1競馬ファンとしてとても嬉しい。勝ち味が遅いリスグラシューに、じれったさを感じてもいたので、ホッとしたというのが正直なところ。

モレイラは巧かった。4コーナーではまだ中にいたのに、直線に向いて馬団子がばらける瞬間をとらえて即座に馬を外に出していた。まぁこれは京都のタイトな4コーナーカーブの特殊性で、速度任せにすると勝手に外にいってしまうのだが、その塩梅が絶妙というか。「ここで距離損したくない、直線で内をとりたい」が日本人騎手の思考なら、モレイラのは「小さな損は当たり前、グッドコンディションで勝ちに行く」であったと思う。自分の騎乗馬を信じる信じないより、まず自分の腕を信じているのが伝わってきた。

ただ、「自分の腕を信じる」は「他人(馬)は蹴散らす駒」とイコールになりやすい。勝負とはそういうものだと言われればそれまでだが、ルールの逸脱を看過するのはどうなのか。レース映像で、ゴールまであと200mと少しのところを見てほしい。モレイラは巧かったが、あのタイミングでの左鞭は確信犯(信念に基づき、本人が悪いことでないと確信してなされる犯罪的行為)ではなかったろうか。

馬がいいだけに、「こういうことをしなくても強い」ところを見せてほしかった。

……本馬の話題に戻る。

戦前、リスグラシューには距離不安の声がつきまとっていた。もっとも多かったのが「この馬はマイラー」という意見だ。

勝ち鞍と連対距離がマイル~1800に偏っていたから「リスグラシューに2000以上は長い」と見られても仕方ないのだが、「マイラー」視は極論すぎた。エンジンのかかりが遅くなってきたと関係者に言われている馬がマイラーのはずがない。

しかも彼女は、中団からでも後ろからでもなぜか2着が多い。競馬ウマのそういう場合に、原因として語られるのが「脚質が展開に合わなかった」「追い出しのタイミングがずれた」であるが、では、その原因が無かったものと仮定したとき、その馬の距離適性はどこにあるのか。

経験的に、2着3着がやたら多い馬は、「先頭には迫るが先頭になるのを嫌がる」か、「能力は高いが最適ではない距離または馬場を走らされている」か、「騎手に原因がある」かのどれかだ。そして、いくつかのレースをあらためて確認する限り、リスグラシューは先頭になるのを嫌がる馬ではなさそうだ。となると残る原因は二つしかない。つまりリスグラシューの距離適性は、2018年エリザベス女王杯までは不明だったと考えるのが妥当だろう。あと何戦か「腕っぷしとレース勘、馬だまし」に長けている騎手に乗ってもらえれば適距離がはっきりするはずだが、社台系クラブの馬ゆえ引退が目の前なのが残念である。

 

2着はクロコスミア。これは岩田に騙された。もう逃げる気力がなくなっていると思ってしまった。策士、勝負師だわ、岩田。

日本人が連対するのは嬉しい。競馬学校の若手や中堅の生え抜きにももっと存在をアピールしてほしいが、外国人騎手を交えての勝負で期待できるのは川田くらいか(川田の逃げはかっこいい。スローに落としていてもどこか殺気を感じさせる)。

クロコスミアは生産牧場が大手でないのがいい。母父ボストンハーバーなのがいい。ボストンハーバーといえば、かつて藤沢和雄厩舎からデビューしたイクスキューズという牝馬、私は彼女が好きで引退まで追いかけたことがある。藤沢和厩舎にしては数を使われていたので応援のつもりもあった。転厩もして、成績は尻すぼみになってしまったが、追いかけたおかげでボストンハーバーのいいところがわかるようになった。クロコスミアには父ステイゴールドと母父ボストンハーバーのいいところが遺伝しているようだ。

 

3着はモズカッチャン。はじめはそんなに気にもしていなかった馬だ。名前がふざけているし、しばらくは牡馬と勘違いしていてフローラステークスに出てきたときにはびっくりした。しかし、強いのと田中勝春騎手とは関係ないこととで、やがて無視できない存在になった。

このレースではどの馬がモズカッチャン潰しをやるのか、そっちに興味があった。ところが、始まってみるとそういう特定の馬を目当てにした攻防はほとんど無く(京都6Rの落馬事故が影響したか?)、レースはクロコスミア岩田の主導で淡々と進んだ。クロコ岩田は残り600mを過ぎたところでペースを速め、直線では猛追するリスグラモレイラと2頭の叩きあいになった。モズカッチャンはその3馬身後方。Mデムーロの追い出しが遅かったわけではなさそうで、これはその日の体調か力の差が出たと感じるレースだった。

それにしても、Mデムーロの夏を過ぎてからの不振はどうしたことか。モズカッチャンにまだ中間の微熱の影響があったとしても、以前のデムーロなら強引に勝ちに行く競馬をしていたのではないか。JRA所属騎手になる前から、彼の汚さとハングリーさとあざとさがキライで、今でも私はそこをまったく評価しないが、ここまで勝ち星から遠ざかるとさすがに不憫になる。

 

4着はレッドジェノバ。池添がまた叩かれてるが、菊花に続くこの4着はもうしょうがない。池添は叩かれすぎて日本人メンタルに取り込まれてしまった。それでもまだ叩かれてるわけだから、叩き続けてる連中は池添をただ潰したいだけなんだろう。

池添は、ちゃんとスキをうかがっていた。ルメールノームコアが1コーナーから2コーナーにかけて上がっていったのを見て、自身も上げていったが、外は蛯名にフタされ、斜め前にはMデムーロがいて追い出しが遅れた。これが前走の京都大賞典と同じような少頭数戦であれば各馬バラけてレッドも弾けることができたはず。

できれば、小島茂師と東京ホースクラブには池添を乗せ続けてほしい。1番人気2番人気にはならないだろうから馬券的に美味しい。

 

5着6着はこのレース2頭のみの3歳。ノームコアカンタービレである。

2頭は一見、不利もなく、いつでも前を捕えられるところにいて7着8着馬と変わらない位置でゴールしたように見える。しかしヒャッハーモードに入ったモレイラの「やんちゃ、お茶目」により、直線の途中でややブレーキがかかったのは否めない。それがなくても馬券圏内に入るのは難しかったとは思うが、直接影響を受けたカンタービレを例にとると、ひとつぐらい着順が上になっていた可能性はある。

エリザベス女王杯の6着は 賞金無しの出走奨励金840万円。5着賞金は1050万円。5着と6着とでは210万円の差がある。

カンタービレの生産牧場はかつてメイショウベルーガを生産した浦河杵臼の三嶋牧場で、馬主はキセキの所有者でもある石川達絵氏。210万円の差が痛いか痛くないか、外野にはうかがい知れないが、石川達絵氏には、モレイラに張り手の一発くらいかましていただきたかった

今回、走りがガタガタしていたように、カンタービレには多少疲れが残っていただろうし、周りに馬がいるのを気にする(いやがる、怖がる)素振りも感じた。そういう3歳を驚かせるのはフェアとは言えない。

 

ともかく、これでG1のルメール確変はいったん途切れた。

しかし馬次第でいつでも確変に再突入する。要警戒である。 

 

<追記>

・ヴァフラームに川又騎手を続けて乗せた馬主の市川さんと吉村調教師に、感謝と敬意を表します。若い日本人騎手を育てないと日本の競馬の未来は暗い。ありがとうございました。

・人気を背負って負けて、降ろされた岩崎翼騎手に、再度レイホーロマンスに乗るチャンスが巡ってくることを祈る。

 

今日はエリザベス女王杯だが

馬券より、ルメールノームコアの補助を誰がやるのかに興味がある。

天栄としちゃ、お金のある個人馬主が天栄を使う流れになってくれるのが一番いいわけだし。

天栄帰りの13番14番16番がワンツースリーになる可能性はあるのかないのか。

3頭のうち2頭が馬券内にきたら大笑い。競馬は一般人がやる娯楽ギャンブルじゃなく、投機屋が仲間内で回す金のガチョウみたいなもんだ。

インティ 4歳 牡

ケイムホーム×ノーザンアスリート×フォレスティ×クリス×アリダー。

これでもかっ!てくらいに北米血統で固め、5代内のクロスは定石通りミスプロの3×4。

生産者の山下恭茂氏と馬主の武田茂男氏、どちらがインティの母系祖母フォレストキティを買ったのか知らないが、当時は相当高い買い物だったろうに(下手すると億)よく日本に連れてきたものだ。

馬主の武田茂男氏を調べると、2002年生まれのストローズティックという牡馬を持ったのが馬主歴の始まり。ストローズスティックは、形だけでもサンデーサイレンスブライアンズタイムの合体版がほしい馬主にアピールするような血統を持ち、2003年の北海道サマーセールで315万円で購買されている(当時はマル市馬のくくりであった)。

はじめ、武田茂男氏は武田文吾氏のご縁の方か、あるいは今は無きメジロ牧場のかつての場長さんか(同姓同名)と思ったが、所有馬一覧を見てみると、ときどきの話題になった種牡馬の産駒を買う一方、よほど北米の短距離ダート血統がお好きなのか、タバスコキャットボストンハーバーコロナドズクエストケイムホームの産駒も購入しておられる。どうやら一般の競馬好きでいらっしゃる可能性が高い。

インティの血脈にはスピード競馬に必要な因子が数種類も散りばめられている。しかし馬はそれだけで走るものではない。全きょうだいであってすら、見かけも中身も違うのが出ることがある。だから馬産そのものが(人間の交配~出産育児同様)ギャンブルみたいもの。インティの馬主さんは祖母フォレストキティと娘キティとの縁でインティを手に入れた。フォレストキティとその子を大事に所有することで自らたぐりよせた奇跡的な良縁、とも言える。

一口クラブ全盛の時代に、こういう馬主さんがまだいたんだなぁと感慨深い。

インティは3歳夏から4歳初夏にかけてなんらかの故障で休養を余儀なくされていた。

有り余るスピードとパワーは本体自体を痛めやすい。このまま大過なく、ダート界を牽引する存在になってほしいと強く願う。

2018年11月4日

今日はG1が3レース行われるが、わからないのでやらない。

スピードが要求される京都ダートで地方馬が太刀打ちできるとはとても思えない。それに今回、地方馬は多勢に無勢だ。なんだか無理くり開催のための茶番のようで、検討する気が起きない。

だから今週は、昨日1頭(東京12Rレッドゼノン)、今日2頭(京都2Rメイショウクライム、東京10Rホーリーブレイズ)の応援馬券だけで終えるつもりでいる。

レッドゼノンは調整がうまくいったのと横山典騎手の好騎乗もあって低人気で4着と善戦したが、メイショウクライムは奥手なのに初勝利を(陣営が)焦っているようだし、ホーリーブレイズは昇級戦で一気に相手が強くなってしまった。

ホーリーブレイズは頑張ってくれたらそれでいいが、メイショウクライムは来年春まで、成長を促しつつ鍛える形のほうが合うと思うのだがどうだろうか。

2018年菊花賞 着順と独り言

 1着 フィエールマンルメール

アイトーン、オウケンムーンとともに真っ先に消した馬である。大きな理由は、2000m以上のレースを使っていないことと4ヶ月以上の休養明け。いくら外厩制度が浸透し、トップ騎手のルメールが乗るといっても、1800mしか走ってなかった馬が、4ヶ月後にいきなり初輸送・初馬場・初距離の3000m重賞で勝ち負けできるとは思えなかった。

しかしそれは、私の「外厩」に対する認識不足だった。

フィエールマンはレースを終えるたびにノーザンファーム天栄というところで過ごしていた。このノーザンファーム天栄は、ただ休養させるところではないらしい。「ケアしつつ各馬の状態に沿ったトレーニングを施して、必要なら次のレースに照準を合わせた鍛錬を行う」トレセンのようなところだそうだ。それを「外厩」と言うらしいが、日本一と言われるその施設の概要を知ってビビった。

リンクつけたはずだが表示されないので「【外厩入門】ノーザンファームしがらき・天栄」でググってください

レースとレースの間にこういうところで過ごしていたと知ってたら、この馬の馬券を買ってた……可能性は、どっちみち低い。だって、どんな鍛え方してきたかわからんもんね。そういう情報は馬の馬主やクラブ会員に会報で知らされるだけだもんね。それに、いくら自前のトレセンで鍛えてきた切れ味抜群の馬でも、あのキャリアの少なさで、経験してきたより6ハロン延びるG1でなんとかなるとはちょっと想像しづらい。天才ルメールの手腕で5着か6着がいいとこだと考えてしまう。

それが、通用するどころか勝っちゃったのは展開の助け(というよりジェネラーレ田辺の助けと武以外の日本人騎手のみなさんの助け)が大きい。

あとで知ったことだが、管理する手塚調教師は、何度となく天栄に足を運び、馬の状態を確認したり、注文をつけたりしていたようだ。社台サラブレッドクラブの次くらいに会員資格の敷居が高そうなサンデーサラブレッドクラブの馬で、出資は1口250万円、ここまで[2.1.0.0]の好成績で来てたのだから神経質にもなろうというもの。しかし天栄の預託料も高そうだ。バクチ世界の競走馬にとって、一番のブースターは、生産者と馬主、両方の資金力。当たり前の事実なんだけど、うん、まぶしすぎて目が痛い。

フィエールマンの最少キャリアによる菊花賞勝ちで、母馬リュヌドールは繁殖牝馬としての価値をおおいに上げた。なんたって、フィエールマンのすぐ下の弟ラストヌードル(父オルフェーヴル)も、菊花賞の前週、東京で新馬勝ちしているのだ。鞍上は田辺。

ノーザンとしては、育成にしか関わっていないスクリーンヒーローの産駒に妙な活躍をされるより、生え抜きのディープインパクト産駒に、ダービーに続く最後の一冠を獲ってもらいたかったに違いない。喜びもひとしおだろう。

なお、一般競馬マスコミの情報では、ルメールがフィエールマンの調教にまたがったのは10月4日の1度しかない。たとえルメールが母馬リュヌドールを知っていて馴染みがあったとしても(もとはフランス馬でジャパンカップにも出走した)、その産駒とたった1度で特徴をつかみ、意思疎通を成功させるとは馬たらしにもほどがある。いや、ルメール、キライじゃないけど。

 

2着 エタリオウ(Mデムーロ

デムーロが可哀想だった。この菊花賞で、誰よりも勝ちたかったのはデムーロだろう。それだけに、一番展開に翻弄されてしまった。

馬券検討で軸をエタリオウにするかメイショウテッコンにするか迷い、テッコンのほうにしたのは、デムーロが仕掛けのタイミングを誤って差し届かずなシーンが浮かんだからだった。でも彼はペースを読んだ。読んで、1コーナー手前で徐々に前目に進出した。最後の直線で先頭に立ってしまったのは彼のミスではない。それこそ「アヤ」、「運」というやつだ。

エタリオウの母系は、一見、北米の典型的なダート短~中距離血統に見える。しかし、母ホットチャチャはアメリカの芝G1、クイーンエリザベス2世チャレンジカップ(芝9F)を勝っている。その父カクタスリッジ(これはダート短~中距離馬)をさかのぼると、エタリオウから数えて7代前に、イタリアのG1ミラノ大賞典(当時は芝3000m。現在は2400mに距離変更)を勝った Toulouse Lautrec がいる。Toulouse Lautrec はエタリオウの父ステイゴールドの母系にいる Fine Top と同時代の活躍馬である。

交配の積み重ねで代に隔たりは生じたが、人知にうかがい知れないところで同時代の血が呼応しあい、能力に特別な何かを付与することは十分ありえる。エタリオウにはそのsomethingを期待したい

 

3着 ユーキャンスマイル(武)

検討時に馬柱(競走成績表)と血統を見ていて、これの応援複勝だけ買いたい気持ちが頭をよぎった。しかし余計なプライドと、連系馬券でキレイに当てたい欲が勝り、1着馬のみならずこの馬も外してキレイに負けた。後悔しかない。

ユーキャンスマイルは「鞍上次第」の馬である。競走成績にはっきり出ている。上り坂になると「どっこいしょ」になるのも戦績からわかる。前走で新潟2200を勝っているのは心肺能力が高い証だし、京都得意で鞍上は武。軸にできなくてもヒモにはできる。のに、なぜ押さえることすらしなかったのか。

バカだから「いやいや、これはワナだ」と思い込んだのだ。「わたしは、武だからとホイホイ買う真似はしない」などと、20年前の小さなプライドをよみがえらせ、ええかっこした。

おのれの理性(と信じるもの)がどれだけおのれをハメてきたか。バカだから同じことを繰り返す。

ところで、ユーキャンスマイルの血統の何が、私を前のめり(当てたくて打ち消したが)にさせたのか。

それは、母系のノウンファクトである。

競馬マスコミによる菊花賞の血統予想で、ユーキャンスマイルは母父ダンスインザダークばかりが強調されたが、私はこの血統の肝にもうひとつ、母系3代母の父ノウンファクトを挙げたい。

ノウンファクトは希少なマッチェム系である。マッチェム系は、異系に入って、古い血脈を刺激し底上げするのに適している。また、同系と近親配合(West Australian まで遡っての分枝含む)することによって競走能力に磨きがかかることもわかっている。ヘロド血脈との相性も相互補完的で、別系統に入った時には両輪として下支えすることも知られている。

マッチェム系の中でも、Fair Play 経由のノウンファクトは、Halo(ヘイロー)の中にいる Blue Larkspur や Mahmoud 、 ミスプロの父 Raise a Nativeとの相性がいいようだ。現在では、系統の本来の特質である4000mを走りきる忍耐力や愚直さが消え(おそらくノウンファクトの祖父インテンショナリーの、母マイレシピの優性遺伝による)、短距離に特化した系になっているが、ホッカイルソーのように配合次第で旧来の形質があらわれても不思議ではない。

幸い、ユーキャンスマイルの父キングカメハメハは、SS以外の北米血統と欧州血統の宝庫である。当たり外れはあるだろうが、ノウンファクトが競走能力の補強材料として、当たれば大きい。まだまだ幼い感は否めず、馬群を自ら割って出てくるほどの気の強さも感じられないが、成長を焦らず、コース取りの巧い騎手に乗り続けてもらえれば、気性の素直さがアドバンテージになるだろう。

追記すると、前走、阿賀野川特別から菊花賞までのユーキャンスマイルの中間調教は「長めびっしり、負荷十分」。これも天栄帰りだったが、友道厩舎は、JRA所属厩舎としてきちんと菊花賞に向けた馬づくりをしていて好感が持てた。

 

4着 ブラストワンピース(池添)

母系が短距離馬ばかりなのに、4着はよく頑張ったほうじゃなかろうか。

レースを観返すと、馬と騎手、どちらが下り坂に用心したのか不得手なのか、下り坂にさしかかると脚が鈍るようだった(1周目は馬群のごちゃつきで仕方なかったにせよ、2周目は…?)。念のため、毎日杯とダービーを確認すると、毎日杯では観ていて違和感のなかった坂の上り下りが、ダービーでは下りよりスタンド前の上り坂に苦労しているように見えた。

デビューから乗り続けている池添は、ああ見えて、はっきり内と外を区別する、口が堅い男だ(たぶん)。ブラストワンピースは、実は坂が不得手なのだけど、これまではフラットな地面での走破能力の高さと相手関係で、こちらに見えなかっただけかもしれない。

札幌か新潟に芝2600~3000mの長距離戦、それも前半と後半にタイムによる足きりを設けた重賞があれば、この馬はきっと面白い

 血統的には、父ハービンジャーで母ツルマルワンピースの母母父フジキセキが持つ Le Fabuleuxルファビュルー)を重ねてクロスをつくり、リボーとバックパサーを強めて母父キンカメが持つミスプロを補強している。さすがの配合、さすがのノーザン。それにしても初子でこれって、狙ったとしても普通当たらん。

余談ながら、ブラストワンピースの母系祖母ツルマルグラマーはノーザンファーム産だが、その娘ツルマルワンピースは鵡川の市川牧場の産である。それが今、ワンピースの産駒は3頭ともノーザン産になっていて、グラマーの産駒が市川牧場産になっている。

市川牧場が、繁殖としてグラマーをノーザンから買ったのはわかるが、そこから生まれて中央で3勝したワンピースを手放すのは、惜しくなかっただろうか。もっとも、ノーザンに行かなけりゃワンピースはハービンジャーヴィクトワールピサオルフェーヴルといった錚々たる種馬をつけられることなく、その産駒はJRAでなく地方で走る、ということになってた可能性が高いから、それはそれで、市川牧場にとってもワンピースにとっても幸せなのかもしれない。

 

5着 グローリーヴェイズ(福永)

ちょっと驚いた。

前走は確かにいいラップ&タイムで新潟2000を勝利したが、新潟は開幕して間もない良馬場、鞍上は容赦ないデムーロ、そりゃ好時計にもなるだろ、な条件がそろっていた。それが菊花での馬番は8枠18番。過去10年、掲示板に入った馬はいないとお墨付きの大外で、グローリーヴェイズは京都が得意とは言えない競走成績だったからだ。

もちろん、スロー団子の恩恵はあったと思う。京都芝複勝率5割超えの鞍上・福永の巧さもあったと思う。それでも掲示板は驚きだ。

知人に、今回この馬の単複を買った男がいる。彼は仕事と家庭の多忙でめったに馬券を買わないが、春天とダービーと菊花賞有馬記念だけは買う。血統にメジロライアンがいる馬を見つけるとその馬だけを買う。彼はステイヤーといわれる馬が好きで、その中でも特にメジロライアンが大好きなのだ。

私もステイヤーが好きなのだが、近年は「長距離血統なんてほんまにあるんやろか?」と懐疑的になっていた。

グローリーヴェイズの血統にしても、母系2代母の父メジロライアンと3代母の父モガミの名前を見て「ああ、メジロとモガミは相性いいもんな」、母父スウェプトオーヴァーボードの名前を見て「スウェプトの毛色が白いのは母系にヘロドが濃い影響もあるんやろか」などと、ふわふわ思った程度だった。それ以外には、「この馬、宝塚記念がええかも」、「レイクヴィラは社台グループのひとつやったな。メジロ馬はやっぱり不遇なんやろか(:事実は、「経営・技術両面でノーザンの支援を受けているがグループ傘下ではない」ようです)」と、馬券検討とはほど遠い方向に脳味噌が飛んでいた。

もし、スウェプトの中のヘロド血脈が、ライアンやモガミの血脈と衝突することなく、ディープインパクトが持つ筋肉の柔らかさや心肺能力の高さを支えてくれたなら、とてもうれしい。それは、先を見る生産者が、ヘロドやライアン、モガミの血脈を保持する馬を「血の種」として生かすことにもつながるからだ。

グローリーヴェイズは年内はもう休養に充てるらしい。それが確かな情報なら、関係者は賢明な判断をしたと思う。

 

6着 タイムフライヤー(和田)

2歳早熟長距離馬決定戦で勝ってしまって苦労した馬。

本馬は2歳8月でデビューして、毎月走って課題をクリア、年末にはG1馬の称号ゲット。他の馬より早く生まれた(2月1日誕生)アドバンテージがあったとはいえ、よく潰れずに牡馬クラシック3戦に皆勤した。

早期に賞金を積み上げていたから、その後の賞金加算に躍起にならなくても三冠レース皆勤が可能だったわけだが、母父ブライアンズタイム由来の体質の強さが無かったら、心身のどこかに深刻な疾病・故障を起こしていてもおかしくない。

今年のホープフルS(年末ぎりぎりの中山芝2000:G1)は、1月~3月生まれの良血を所有する関係者たちの、この馬の「三冠レース参戦法」を狙った熾烈な戦いになりそうだ

 

7着 シャルドネゴールド(藤岡康)

ワインはさっぱりわからない。下戸だから普通の酒もわからない。

シャルドネゴールドのことも、さっぱりイメージがつかめず、弱った。上がり馬っぽいのだが、デビューは早い。月始めの葉牡丹を勝てば月終わりのホープフルに行く予定だったのが、当てが外れて条件戦とトライアルをさまようことになったように見える。

血統分析では、父ステイゴールドはよくわかるんだけど、母父 Lion Heart の名は初耳、母母の系統では「ヒミノダハールはリファール持ちだったのか」程度しかピンと来ず、「シャルドネゴールドの母系は直感配合でできている」と、思考停止に逃げた。

生産牧場パカパカファームの代表者は外国人。白人だったという記憶しかないからwikiで調べてみたらアイルランド人だった。wikiによると、2016年からダーレー・ジャパン・ファームの場長を兼任しているらしい。パカパカ生産馬の配合はこの人が考えてるだろうから、きっと何か、ポイント or 核になるものがあるに違いない。

 

8着 エポカドーロ(戸崎)

戸崎氏のレース後コメント

「ペースが遅かったですね。(藤原英昭)先生と話しましたが、距離が長かったかもしれません。調子は良かったです」

レース前、競馬仲間と話していて、取捨の俎上に上がった1頭がエポカドーロ。

競馬歴の長い馬友Aは、「エポカの体型は胴が短くて菊花向きじゃないから」切った。私は、3歳の中ではトップクラスのエポカの我慢強さとスピード能力を買っていたからヒモに入れた。結果は、最初の3コーナーから最後の直線に向くまで、前・横・後ろにフタされて、勝ち馬から0.8差の8着。向こう正面でカフジバンガードのフタがとれたとき、外にちょっと抜け出る隙があったと見えたが、それはすぐさまタイムフライヤーのポジションになった。

エポカドーロは、メイショウ同様、800mが適性距離の短距離馬ではない。だからこのレースに出るには無理があった。せめて 2000mはないと、この馬の持ち味は生きない。

菊花賞は3歳限定戦である。走破能力も器用さも、エポカは同年齢の上位馬だ。本質的に3000mは長いとしても、3歳秋時点の絶対能力で馬券になるシーン(たとえ勝てなくても)を、過去の菊花賞で私はたびたび目にしている。

エポカドーロの敗因は、スロー展開で馬群が団子になったため、ポケットに入って終始抜け出せなかったことにあると私は考えている。が、戸崎氏は本当に、「エポカドーロには距離が長かった」のも敗因と考えているのだろうか。

 

9着 ジェネラーレウーノ(田辺)

田辺氏のレース後コメント

「マイペース、遅いくらいのペースで運べました。周りも強い馬ばかり、思うような競馬は出来ませんね。自分の競馬は出来たと思いますし、悲観するような内容ではなかったと思います」

葉牡丹賞京成杯シャルドネゴールド(戸崎)やコズミックフォース(戸崎)の追撃を封じ、皐月賞でハイペースをつくって3着に残り、セントライト記念で二番手から抜け出して勝利したジェネラーレウーノの本来のマイペース、自分の競馬とやらが、遅いくらいのペースだったとは知らなんだ

1000m通過タイムが、スタート直前まで小雨が降っていた2010年のタイムより1秒7も遅い。

田辺氏は葛藤状態を上手につくった。スタートして最初の2F(ハロン/1ハロンは200m)は速く、それからはぐっとスピードを落として後続を様子探りの団子状態にし、最後の3コーナーから4コーナーを回るタイミングで、頭の中でベルを鳴らして「よーいドン」。

最初の2Fと最後の2F、足して4F。菊花賞を800mのレースにした立役者である。

エタリオウを勝たせるためにあのペースにしたとの見方があるが、いやいや、エポカドーロとメイショウテッコンを一番の敵とみなし、その2頭さえ封じれば、田辺氏は1着馬と2着馬、どっちが勝っても良かった。むしろワンツーこそ計画通りな可能性がある。レース後の、清々しさ、「やりきった感」さえ感じさせるコメントを読んでそう感じた。

2200m以上の大きなレースで、自分の乗り馬は逃げ先行型。でも他にもっと強力な逃げ先行脚質の馬がいて、有力な差し・追い込み馬も合わせると、自分の乗り馬は掲示板すら難しい。過去、そんな時の田辺氏はどんなレースをしてきただろうか。

「死なばもろとも作戦」。今回は、絡むんじゃなくてペースを握って潰した。本人は今年初めての京都だったが、持ち馬は左回りより右回りが得意、しかも直前輸送のストレスを回避するために、わざわざ早めに関西入りしたのに。

 

 10着 グレイル(岩田)

2歳時ではあるが、京都芝2000mで2勝している。東京や中山で惨敗(セントライトは惜敗だが)したのは、たぶん「輸送に弱いせい」。そう考えてヒモに加えた。のに。見せ場どころか、どこにいるかわからなかった。

仕方がない。この馬も古馬になってからだろう。差し脚はあるけど古馬戦で武器になるってほどじゃないから、もう少しレースに前向きになってくれたらいいのだが。

 

11着 ステイフーリッシュ(藤岡佑)

京都新聞杯は良かったなぁ。良かったなぁ…良かったなぁ……。

これも見せ場どころか、どこにいるかわからなかった。映像見直してやっと、後ろにいたのに気がついた。…Why, What are you doing where?

5歳くらいで大きな仕事をしそうだから気長に待とう。

 

12着 アフリカンゴールド(松若)

松若氏のレース後コメント

「道中は少し力んでいましたし、もっと早く動けばよかったですね。自分の判断ミスです

許した。

松若氏の初めての重賞騎乗がこのG1菊花賞。これからの糧にしてくれたら嬉しい。それにしても、G1騎乗が当たり前になったら自分の判断ミスを棚にあげるようになるのはなんでか。しんどいことだが、松若氏にはその轍を踏まないでもらいたい。

アフリカンゴールドの今の状態はどうだろうか。

彼の母ブリクセンは、初仔からドバイワールドカップを勝ったアフリカンストーリー(セン馬)を出した。ブリクセンは父と母父だけ見ると、どこにでもいるミスプロ系×ノーザンダンサー系の繁殖牝馬である。しかし母系三代母父から奥がすごい。三代母父は凱旋門賞を勝ったSassafrasササフラー:長距離で真価を発揮するHurry On経由のマッチェム系)、四代母父は電撃重賞戦を複数制したスプリンター Be Friendly 、五代母父はアイルランド二冠馬 Zarathustra (ザラズーストラ)。血脈に底力があり、この5年内に繁殖として実績も出した牝馬を、芝馬場が軽すぎる、あるいはダート馬場が硬すぎると国際的に不評な日本に導入したのはほんともったいない! が、この事実でダーレー・ジャパンの本気がわかろうというもの。

しかし母ブリクセンは日本にいる間にハタチになってしまった。もうあとがない。

アフリカンゴールドの兄姉は、気性の激しさや体質の弱さがネックになって中央未勝利で終わったが、管理する西園厩舎の方々、松若騎手にはどうにか工夫して重賞で勝ち負けできる馬に育ててもらいたい。

 

13着 グロンディオーズ(モレイラ)

6番人気はモレイラ人気だったのだな。

左回りでこそ無理なく自然に走れるようだ。良馬場でしか走ったことがない馬だが、雨・重馬場の目黒記念エプソムカップで見てみたい。

 

14着 メイショウテッコン(松山)

松山氏のレース後コメント

「スタートがすべてです。自分の形の競馬が出来ませんでした。いつでも動ける位置でレースをしたかったのですが、それが出来ませんでした」

微妙だが、許すしかあるまい(上から目線)。ただ松山くん(なぜクンづけ?)は上品すぎる。性格的にガツガツしづらいのなら、せめてのびのび。でないと苦労人の術中にはまる。自馬の外にエポカ&テッコン、内に池添ブラストがいるとわかった田辺は、なにがなんでもペースの支配者になる途を選んだ。苦労人はそういうところが怖い。

松山よ(今度は呼び捨て)、平場でも重賞でもいいから、C・ルメールが勝ったレース映像をたくさん観ろ。どんな条件でどの馬に乗ったか頭に入れて、ルメールになったつもりで彼の進路をなぞれ。きみはデムーロにはなれないが、ルメールの弟子にはなれる。幸い、馬主の松本好雄氏は、努力を認め、成長を待ってくださる方だ。松本氏がご存命のうちに、ぜひ。

 

15着 コズミックフォース(浜中)

輸送に弱い可能性を考えて、どの陣営より先に栗東入り。あのスローペースの中、外々を回りながら前から3番目で先行するも、勝ち馬から2秒差に敗退。浜中ではなく、本来の乗り手、石橋脩だったら? …着順は6つぐらいは上になっていた、かもしれない。

苦手な右回りで、逃げ出せもせず、3000mをよく堪えた。東京コースならまた変わる。年内は休養にあてるらしいから、苦しい記憶が少しでも薄れることを祈る。

 

16着 アイトーン(国分恭)

ジェネラーレウーノは体高のある506kg。アイトーンは札幌記念後に10kg以上太らせて480kg。田辺騎手は34才、国分恭騎手は27才。オス社会に通底する暗黙の掟が、あそこで国分恭に手綱を引かせたのだろうか。

事前に逃げ宣言をしながら結果的に逃げ(られ)なかった国分と、実質的に逃げ宣言を(国分に)した田辺。レース後、馬券買いやトラックマンからの批判・非難は国分に対する声のほうが大きかったように思う。

アイトーンと国分恭は気の毒だった。田辺に完全に舐められていた。特に馬(アイトーン)は、押されて押されて行きかけたのにすぐに手綱を引っ張られ、混乱と抗議の首振りをしていた。

厩舎陣営もまた気の毒だ。アイトーン陣営は、トライアル参戦を回避した9月からレース前追い切りまで、9月は坂路、10月はCWコースと坂路併用で入念に馬を鍛えていた。通用するかしないかは別にして、調教という形で菊花賞に真剣に向き合っているのが、素人の私にもわかった。それだけに無念の大きさは計り知れない。

アイトーンの疲労度はどうだろうか。どこか痛めたりしてないだろうか。

食らいつこうと無茶走りしてバテまくった札幌記念より、疲労の度合いが小さいなら幸い。アイトーンはどこからどう見ても晩成馬だ。馬ごみを怖がる面があるなら尚更、気持ちが折れないように育ててやってほしい。

 

17着 カフジバンガード(幸)

出走馬中、断トツの戦歴(菊花賞までに12戦消化)を誇る。いつもならそんな馬は買わないのだが、前走の能勢特別がよかった。同じ京都でもダートの成績に比べると芝の成績が……な幸に乗り替わるのが不安だったが、全馬が初の3000mレース、「何が起きても不思議じゃない」から、念のためにヒモに加えた。

確かに、今年も何かが起きた。競馬の答えはいつでも、「終われば簡単」なのだ。

 

18着 オウケンムーン(北村宏)

出走馬中唯一、血統にSS(サンデーサイレンス)を持たない馬。 

この馬の馬体を「いい」と評価したトラックマンがいたのが信じられない。好意的にとらえれば、「単体のみ観た時系列」で毛艶を相対評価をしたと言えないことはないのだが。

共同通信杯を勝ってるが、この馬、まだ幼い。菊花賞パドック時点で、体つきが他馬に追いつくまであと1年半かかると感じた。コロンとした体型(牝系からくる特徴)や、減り続けている馬体で幼く見えた可能性はあるものの、腰や肩の骨格、まだまだ未完成ではなかろうか。クラシック三冠を皆勤したことで、このまま固まってしまわなければいいけれど。

国枝厩舎は牝馬育てに定評のある厩舎だ。しばらくは牝馬に接するように、オウケンムーンに接してみてはどうか。

騎手の腕はブースター血脈を凌駕した!…のか?

結局、騎手かぁあぁぁぁ!!

今年の菊花賞はそういうレースになりました。

昨日は快晴、きれいな秋晴れの京都でしたが、決着タイムはスタート直前まで雨が降ってた2010年の菊花賞と同じ3分6秒1

どないでしょうか、このタイム。天候・晴、馬場・良としては近年にない超遅時計です。

逃げ・先行あわせて10頭いたのに、どうしてあんな馬群が固まったままのレースになるのか。

8年前のは、良発表ではあったけど数時間は小雨がしとしと降っていた。だから実質的には稍重に近い良。蹄鉄つけてる馬は車と同じで滑りやすいからスタートはバラバラ、それでもレースじゃコスモラピュタが果敢に引っ張った。

今年のはただのスローのよーいドン。

逃げ宣言したけど集団の先頭にいただけのジェネラーレウーノや、道中行きたがって体力を消耗したメイショウテッコン、エポカドーロは8着以下に沈み、馬をがっちり抑え込めるか、なだめるのが巧い騎乗達人の馬たちが、正味800m戦のワンツースリーになった。

ジェネラーレウーノ田辺は、あの逃げでどうにかなると思っていたのか? 百歩譲って、自分は着外に沈んでも他の逃げ先行勢をかからせて潰し、エタリオウ(ウーノと馬主が同じ)に戴冠させたいと考えていたとしても、Mデムーロ以外に巧い騎手・怖い騎手はいないと舐めていたのか? そしてメイショウテッコン松山やエポカドーロ戸崎は、あのペースを「遅い。ならば自分が先んじよう」と思わなかったのか?田辺に遠慮しなければならない理由でもあったのか?

まだアイトーン国分が逃げたほうが、見せ場が長いレースになって面白かったのではないだろうか。

 

先記事に、血脈ブースターについて書いた。これには種類があって、ひとつだけではない。たとえばサンデーサイレンスは日本の競走馬の質を塗り替えるほど強力で万能なブースターだったし、競走馬としていいところを、相互に引き出し増幅する血脈的相性であるニックス(有名な例ではステイゴールドメジロマックイーン牝馬)もそのひとつである。先記事に書いたSS系に作用する(とみなしうる)ブースターもまた、数ある血脈ブースターのひとつにすぎない。

仮に、それを「ブースターNaB」とする。

今回の菊花賞出走馬18頭のうち、ブースターNaBを持たない馬は5頭いた。

1頭はタガノ牧場産(アイトーン)、3頭はノーザンファーム産(ユーキャンスマイル、フィエールマン、グロンディオーズ)、残り1頭はレイクヴィラファーム産(グローリーヴェイズ)。

5頭中4頭が社台グループ系列の産で、彼らはいずれも、母系または母系底流に「重い」と言われる欧州血脈を多く持つ。それは日本の競走馬のスタンダードではあるのだが、そういう馬をSS仕様の軽い馬場にした日本の競馬場の中長距離の芝重賞で勝ち負けに持ち込ませるには、これまでなら配合で8代内にブースターNaBを紛れ込ませるか、当日の雨を願うか、さもなくば当日午後から馬場に散水する以外なかったはずだ。

しかし昨日は、雨または散水の事実がないにもかかわらず、「ブースターNaB無し」の社台系産4頭のうち3頭が5着内入線(1着3着5着)。3着内の騎手はすべて京都芝複勝率4割以上、うち2人は外国人騎手

展開の助け騎手の腕

社台グループの特にノーザンFはバクチの勝ち方をよく知っている。